研究課題/領域番号 |
22K05420
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 一般財団法人電力中央研究所 |
研究代表者 |
平野 伸一 一般財団法人電力中央研究所, サステナブルシステム研究本部, 上席研究員 (20392748)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 微生物腐食 / メタン菌 / 電気メタン合成 / 金属腐食 / 細胞外電子移動 |
研究開始時の研究の概要 |
再エネなどCO2フリー電気を還元力として、メタン菌のCO2変換反応を駆動する電気メタン合成がカーボンリサイクル技術として注目されている。社会実装に向けては、電極からメタン菌が電子を獲得する機構の理解とそれを踏まえた速度の向上が必要である。これまでに、申請者は固体鉄から電子を獲得する腐食性メタン菌を単離しており、本菌株は固相からの高い電子獲得能力持つことが期待される。そこで、本研究では、本菌株の電気メタン合成活性を評価するとともに、腐食メカニズム・電子獲得関連遺伝子を明らかにすることで、機能強化株の構築及び電極最適化によるメタン合成速度の向上を図る。
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研究実績の概要 |
本研究では淡水環境から分離された腐食性メタン菌Methanobacterium sp.TO1株の固相表面(固体鉄)から電子を獲得する能力に着目し、電極から電子を供給する電気培養法を適用することで効率的な電気メタン合成の確立を目的としている。昨年度までに、-0.7V (vs Ag/AgCl) 以下の電位を炭素電極に印加することで電極から腐食性メタン菌TO1株に電子を供与し、電気メタン合成が可能であることを見出している。今年度は電気メタン合成量の向上を目指し、メタン菌を高密度保持できる電極の検討を行った。炭素繊維上に鉄粒 (1-2 mm) もしくは鉄粉 (直径:180 マイクロメートル) を散布後、炭素繊維全体をゲルで固化した。ゲル固化後の炭素繊維を腐食性メタン菌を含む培地で前培養することで、炭素繊維上での腐食性メタン菌TO1株の高密度化を試みた。前培養後のゲル固定型炭素繊維を新たな培地に移し、作用極として-0.7 Vの電位を印加しながら電気培養を行った。電気培養開始後、還元電流が観察され、電気培養槽気相部ではメタンが検出された。よって、新しく作製したゲル固定型炭素繊維電極においても腐食性メタン菌TO1株による電気メタン合成が可能であることが明らかとなった。今年度ゲル固定型炭素繊維電極を用いることで得られたメタン合成量は、昨年度実施した炭素板、ステンレス板、炭素繊維を作用電極とした試験結果と比較して大きく、より高密度の腐食性メタン菌を電極表面に保持することができたと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電極と腐食性メタン菌間の電子伝達および電気メタン合成を効率化するため、電極上において腐食性メタン菌を高密度化する手法に目途を得た。一方、腐食性メタン菌TO1株の電子獲得メカニズム推定のため、ゲノム解析を試みたが、多量に腐食生成物を含む培養液から抽出した腐食性メタン菌のゲノムDNAの品質に課題があることが判明した。ゲノム情報の取得に一部遅延があるが、電気メタン合成活性の向上には成功しているため、全体として概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
腐食性メタン菌の大量培養を行うとともに、複数のゲノムDNA抽出手法を検討し、ゲノム解析のための高品質のゲノムDNAを取得する。ゲノム解析を通じて、腐食性メタン菌の電子獲得のメカニズムを推定する。また、炭素電極表面に化学修飾を施すことで、メタン菌の付着量および電子移動量の更なる増大を図る。
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