研究課題/領域番号 |
22K05422
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38030:応用生物化学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
冨田 宏矢 大阪大学, 生物工学国際交流センター, 准教授 (00814229)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ポリヒドロキシアルカン酸 / 指向性進化 / 生分解性プラスチック / 生合成 |
研究開始時の研究の概要 |
環境中の残存プラスチック問題の解決のため、新規生分解性プラスチック材料の開発と利用拡大は急務である。本研究では、微生物が産生する生分解性ポリエステルであるポリヒドロキシアルカン酸 (PHA) の合成酵素に着目する。酵素の機能を人工的に進化させる酵素進化工学的アプローチによって、前例がない短鎖・中鎖モノマーからなる配列制御型PHAを合成可能な新規酵素の創出を目指す。本研究により、有用な物性を示す変異型酵素が得られれば、完全バイオ由来の生分解性プラスチックの生産量および用途を拡大できる。
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研究実績の概要 |
Error-prone PCR法によってランダム変異を導入したphaCAR変異遺伝子ライブラリーを作製し、これらを導入した大腸菌を3HHxを含む培地で培養した。PHAの合成量に応じて蛍光を発する蛍光色素ナイルレッドが含まれる培地で培養したところ、いくつかの変異体は親酵素よりも高い蛍光強度を示した。これらの変異体の変異点を同定した結果、N149D, F314L変異が見出され、これらの変異が3HHxの導入効率を高めていることが明らかとなった。続いて、F314に対して20種類全てのアミノ酸で一つずつ置き換えた飽和変異遺伝子ライブラリーを構築し、それぞれのポリマー合成量、3HHx導入率、モノマー配列を調べた。その結果、F314Hはいずれも高い結果を示し、3HB-3HHxからなるブロック共重合体を合成できることがわかった。さらにPhaCAR F314H変異体の組換えタンパク質を調製し、その酵素活性を調べたところ、3HHx-CoAに対して親酵素よりも高い酵素活性を示すことが明らかとなった。N149, F314をPhaCARのコンピュータ上での予想立体構造情報に当てはめたところ、F314はポリマー合成に直接関与する活性中心残基C315に隣接していた。そのため、F314への変異導入は基質選択に重要な役割を果たすことが示唆された。N149は活性中心からは離れたところに位置していたが、酵素活性に重要と思われるループ領域上のN396と相互作用していることが示唆された。この相互作用の変化が酵素の立体構造に影響を与え、その結果として基質特異性にも影響を与えた可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定した実験により、PhaCARの基質特異性に大きく影響する2つの変異点を見出した。特にF314H変異体は最初の到達目標と考えていた3HB, 3HHxからなる短鎖-中鎖ブロック共重合体を合成可能であることから、おおむね計画通りに研究を進められていると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
2つの有効な変異点はそれぞれ独立して得られたため、これらを組み合わせた多重変異体を作製することでさらに3HHx導入効率が上昇する可能性がある。また他のモノマーとの組み合わせについてもポリマー合成量、モノマー組成比、モノマー配列等を検証し、新しいバイオポリエステルの合成を試みる。
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