研究課題/領域番号 |
22K05434
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38030:応用生物化学関連
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
青木 玲奈 (伊藤玲奈) 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍制御学分野, 技師 (20734643)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 細胞外小胞 / テトラスパニン / スクリーニング / 阻害剤 / エクソソーム / がん |
研究開始時の研究の概要 |
細胞が分泌する脂質二重膜に囲まれた微粒子エクソソームを含む細胞外小胞(EV)は、病態診断、標的療法、薬物送達システムとしての有用性が期待されている。しかしながら、不均一で多様なEVの生成・分泌機構の複雑さに対して未解明な点が多く、未だ実用化に達していない。 本研究は代表的なEV表面マーカーのテトラスパニンにルシフェラーゼ(発光遺伝子)を融合し、細胞培養液中で簡便に標識EV分泌量の測定を可能にする。これを用いて標識EV分泌量を制御する阻害剤を見つけ出し、特定のテトラスパニン標識EVの機能性などを明らかにすることで、複雑で不均質なEVをターゲットとしたがん治療戦略へと繋げていくことを目指す。
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研究実績の概要 |
細胞が分泌する脂質二重膜に囲まれた微粒子のエクソソーム(small EV:sEV)を含む細胞外分泌小胞(EV)は、不均一で多彩な生成機構と分泌機構が複雑に絡み合い、未だ未解明な点が多い。 本研究の目的は「1. がん特異的に制御されるテトラスパニン標識EVを個別に制御する阻害剤を見出す」「2. がん細胞で阻害剤により分泌制御されたEVの機能性を調べる」「3. 選択的なテトラスパニン標識EVの分泌抑制阻害剤を突破口にして、テトラスパニンによるEVの多様性を生み出す制御機構を明らかにし、EV阻害剤をがん化抑制や治療に貢献させる」ことにある。 令和4年度は、EV表面マーカーの代表的なテトラスパニン(CD63/ CD9/ CD81)のルシフェラーゼ融合体を用いたテトラスパニン標識EVの測定法を確立した。阻害剤スクリーニングは、先端モデル動物支援プラットフォームの分子プロファイリング支援活動より、標的既知の標準阻害剤キット(約400阻害剤)の提供を受け、3種類のテトラスパニン標識EVについてそれぞれ解析を行なった。その結果、各阻害剤による3種類のテトラスパニン標識EVの分泌プロファイルの違いが明らかになった。本スクリーニング法は、EV粒子数を反映しているが、実際に測定しているのは過剰発現系での細胞外に分泌されたテトラスパニンの相対数である。そこでテトラスパニンEVのELISAキットを用いて、スクリーニングヒット阻害剤の検証も行った。最終的に「目的3」解明の突破口となり得る特異的な標識テトラスパニン分泌のみに影響を与える阻害剤を含む、EV分泌量を変動させた候補阻害剤を3種類に絞り込むことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、「テトラスパニン陽性EVの分泌量が特異的に変動させる候補阻害剤の同定」を中心に研究を進めた。その結果EVの分泌量を特異的に変動させた候補阻害剤は、現在3種類に絞り込まれ、より詳細な解析を進めている。候補阻害剤の内、総EV数には変化を与えず、特異的な標識テトラスパニン分泌のみに影響を与える阻害剤も取得することができた。このテトラスパニン標識 EVを個別に分泌抑制する阻害剤を見出せた成果は、今後個々のテトラスパニンの積み込み機構や特異的なEVフラクションの分泌制御機構の解明に重要なステップとなると期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は研究の目的に記載されている「2. がん細胞で阻害剤により分泌制御されたEVの機能性を調べる」と「3. 選択的なテトラスパニン標識EVの分泌抑制阻害剤を突破口にして、テトラスパニンによるEVの多様性を生み出す制御機構を明らかにする」研究を中心に行う。 「目的2」はEV分泌制御作用を示す阻害剤を用いたin vitro機能解析である。具体的には、阻害剤の機能を評価するために、共培養用容器を用いたEVの取り込み実験を行い、阻害剤処理EVのがん化促進能への効果を評価する。「目的3」では、スクリーニングに使用した標準阻害剤の標的分子が明らかにされていることを利用して既存のEV産生経路を含め、どこに作用しているのか、生化学的手法やエンドソームの免疫染色などの細胞生物学的手法を用いて、詳細に解明していく予定である。
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