研究課題/領域番号 |
22K05440
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38030:応用生物化学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高原 照直 名古屋大学, 生命農学研究科, 講師 (90708059)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | mTOR / mTORC1 / mTORC2 / Calmodulin / TSC2 / カルシウム / アミノ酸 / 情報伝達 |
研究開始時の研究の概要 |
動物細胞の成長や恒常性維持には、タンパク質合成、脂質合成などを司るmTOR(mammalian/mechanistic Target Of Rapamycin)キナーゼが深く関わっている。近年、Ca2+シグナル異常により発症する病的心肥大がmTOR経路異常と関連することも報告されており、Ca2+シグナルとmTOR経路との相互作用ネットワークの重要性が示唆されるが、その具体的な分子メカニズムは不明である。本研究では、Ca2+シグナルによるmTOR経路制御の仕組みと意義を解明し、関連する疾患の予防法創出に向けた基盤的知見を得ることを目指す。
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研究実績の概要 |
昨年度は、Calmodulin (CaM)とmTORC1制御に関して、CaMが結合相手であることを明らかにして いるTSC2に着目し、TSC2-Rheb間の結合に対するCaMの影響を調べた結果、CaMがこれらの結合を阻害することが示唆された。 今年度は、このCaMによる影響がカルシウムイオンに結合したCaMによるものかについて、カルシウムイオンの有無やカルシウムイオンに結合できないCaM変異体を用いて、さらに解析した。その結果、カルシウムイオン依存的にCaMがTSC2-Rheb間の結合を阻害することが判明した。また、この阻害濃度に関しても既知のCaMとTSC2との解離定数と矛盾しない濃度であることがわかった。また、いくつかの動物細胞株において、細胞内カルシウム濃度を上昇させる薬剤であるカルバコールによってmTORC1の活性化が起こることを発見し、カルシウムイオン依存的なmTORC1活性化を引き起こす実験系を確立した。 また、昨年度mTORC2とCaMとの結合についてRictorに加えて新たにmSin1が結合することがわかったため、本年度はmSin1とCaMとの結合に関して研究を進めた。一連の研究により、mSin1内のCaM結合領域を同定した。また、細胞内カルシウムイオンのキレート剤やCaM阻害剤処理により、mTORC2の活性が低下することを見出し、mTORC2がCaMによって制御されていることを示す結果を得た。また、カルバコールによって、mTORC2の活性化が起こることも見出し、これまで不明であった細胞内カルシウム濃度変動とmTORC2活性化の関係について明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、mTORC1経路とmTORC2経路におけるCaMの役割の解析を進めてきている。また、課題であったカルシウムシグナルによる両経路への影響についても細胞株で異なる場面はあるが、カルバコールという細胞内カルシウム濃度変動を引き起こす薬剤によって、いずれの経路の活性化が引き起こされるという重要な知見を得ているため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度では、細胞内カルシウム変動によってTSC2とCaMとの結合が細胞内で変動していることを示すための、モニター系の構築を進める。また、mTORC2活性化への影響としてCaMが結合できないmSin1変異体を作出し、mSin1野生型との比較をすることにより、mTORC2へのCaM結合の意義を探る。さらに、これまでのデータの詳細をつめることで、論文として発表する。
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