研究課題/領域番号 |
22K05444
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38030:応用生物化学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
甲斐 正広 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80260777)
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研究分担者 |
鈴木 拓 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20381254)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ジアシルグリセロールキナーゼ / 大腸がん / メラノーマ |
研究開始時の研究の概要 |
脂質代謝酵素であるジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)は、細胞内シグナル伝達で重要な役割を担っている。近年DGKとがんとの関連が明らかになりつつあり、DGKαやDGKζはがん遺伝子として機能することが報告された。一方我々は、DGKγが大腸がんにおいてエピジェネティックに発現抑制されるがん抑制遺伝子候補であることを見いだした。しかしこれらDGKが細胞内でどのように機能し、がんの進展とどのように関与しているのか、そのメカニズムは未だ不明である。本研究は分子腫瘍学的解析と生化学的解析を統合することで、細胞内情報伝達系におけるDGKの位置付けを解明し、新たながん治療の道筋を探ることを目的とする。
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研究実績の概要 |
ジアシルグリセロールキナーゼζ(DGKZ)と腫瘍の悪性度に関連したDGKZの新たな生理機能を探索するために、DGKZの様々なアイソフォームのクローニングを試みた。まずGENBANKに登録されている主要な5つアイソフォームを選び、qPCR用プライマーを製作した。大腸がん細胞株(HCT116、RKO、DLD1、SW480、SW620、Colo320、Caco2)および正常大腸上皮細胞のRNAを使用して、大腸がんで強く発現しているDGKZアイソフォームをqPCRにより解析した。その結果、特に強く発現している2つのアイソフォームを同定した(NM_001105540.1およびNM_001199266.1)。この2アイソフォームのクローニングを行ったところ、思いの外手間がかかったものの最近ようやく完了した。これからアイソフォームの発現による細胞のフェノタイプの違いについて検討を進めていく。 メラノーマにおけるジアシルグリセロールキナーゼγ(DGKG)の生理機能探索についても引き続き検討を続けた。DGKGの不活性型ミュータント(KD, kinase-dead)と常時活性化型ミュータント(CA, constitutively active)のどちらを発現してもメラノーマ細胞の遊走能および浸潤能が強く抑制されることから、酵素活性とは無関係な未知のメカニズムの存在が示唆されている。そこでDGKGと結合する新規タンパク質を同定するために細胞抽出物から免疫沈降によってDGKGを単離し、質量分析法を用いて候補タンパク質の絞り込みを行う。現在は予備実験を重ねている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
主に家庭の事情により研究に集中できない期間が続いたことが遅れの原因の一つであると考えている。貴重な研究費を十分に活かすために、本年度からは研究分担者の協力を仰いでしっかり研究を進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
メラノーマを用いたジアシルグリセロールキナーゼγ(DGKG)の機能を明らかにする目的で結合タンパク質の同定を試みている。メラノーマ細胞に過剰発現させた本酵素を免疫沈降によって単離し、質量分析により解析することを目指しているが、現在のところまだうまくいく兆候が得られていない。より効率的に解析を行うための試料調製についてさらに検討を進めていく。 ジアシルグリセロールキナーゼζ(DGKZ)と腫瘍の悪性度に関連したDGKZの新たな生理機能を探索については、大腸がんで強く発現しているDGKZの2アイソフォームをクローニングができたので、これからアイソフォームの発現による細胞のフェノタイプの違いについて検討を続ける。増殖、遊走、浸潤、アポトーシスなどの影響について違いがあるかどうか確認したい。
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