研究課題/領域番号 |
22K05454
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38040:生物有機化学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
安部 真人 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (30543425)
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研究分担者 |
河崎 悠也 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (00781999)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | リン脂質 / 過酸化脂質 / 酸化ストレス / 分子プローブ / カルジオリピン / ホスファチジルセリン / 過酸化リン脂質 / 脂質ータンパク相互作用 / 無触媒クリック反応 |
研究開始時の研究の概要 |
過酸化リン脂質は、リン脂質が酸化ストレスに晒されることで産生され、鉄イオン等の作用で二次酸化生成物を誘導する。過酸化リン脂質の作用様式は大別して、1)受容体タンパク質との相互作用、2)二次酸化生成物による酸化的修飾タンパク質の生成、が考えられる。しかし、過酸化リン脂質の受容体タンパク質および酸化的修飾タンパク質の詳細は未解明である。これに対して本研究では、過酸化リン脂質の作用点となる未発見のタンパク質の網羅的な探索に挑戦する。具体的には「過酸化リン脂質膜による受容体タンパク質のプルダウンアッセイ」と「アジド化過酸化リン脂質により生成するアジド化酸化的修飾タンパク質の可視化」の実現を目指す。
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研究実績の概要 |
過酸化リン脂質は細胞内の炎症シグナルの伝達をはじめとする様々な生理活性を有している。これらは、種々のリン脂質の疎水性尾部に見られる不飽和脂肪酸が酸化ストレスによって過酸化を受けることが初動反応と考えられている。しかし、生体内では過酸化リン脂質は非常に短命であることから、直接的な作用機構は未解明であった。そこで本研究では過酸化リン脂質およびそれらの二次酸化生成物を化学合成するとともに、可視化プローブの開発を遂行した。これまでに、天然のミトコンドリア膜に見られる過酸化カルジオリピンの全合成を達成し、さらにその二次酸化生成物の合成を進めている。これらの進捗を受けて、計画通りに可視化プローブの合成を開始しており順調に進められている。一方で、過酸化カルジオリピンの合成経路を発展させて過酸化ホスファチジルセリンの合成も達成した。過酸化ホスファチジルセリンは、GPCR型の炎症シグナル受容体に対して基質認識を受けることが明らかになり、同様に二次酸化生成物の展開による作用機構の解明を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画上の技術的な課題であった過酸化リン脂質の合成に成功した点は非常に大きな進捗と捉えることができる。研究期間の開始以降だけでも天然型、人工型を併せた各種リン脂質を10種以上、過酸化リン脂質も3種類以上を合成し、得られた技術的進捗を類縁体合成に活かすことができた。これらの化学合成の基盤が高いレベルで整ったことは、本研究計画の進展にも波及効果が大きい。加えて、得られた過酸化ホスファチジルセリンに炎症シグナルの伝達活性が認められるなど、新たな知見も得ることができている。リン脂質の分子種として計画開始当初よりも充実することができているため、計画以上の進展と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
過酸化リン脂質について化学合成の基盤を整えることができたことから、次年度以降はそれらの類縁体合成とプローブ合成に発展させることで計画を遂行する予定である。既に合成類縁体を多数得ているカルジオリピン、ホスファチジルセリンについては二次酸化生成物の合成を進めることとし、最終目標である作用点タンパク質の可視化に向けた予備実験を早期に開始する。
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