研究課題/領域番号 |
22K05463
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38040:生物有機化学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
杉本 幸裕 神戸大学, 農学研究科, 教授 (10243411)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ストリゴラクトン / 立体制御 / 環化 |
研究開始時の研究の概要 |
典型的ストリゴラクトン(strigolactone; SL)はABC環とD環から成る基本構造を有し、植物ごとにC環の立体化学が異なるSLが生産されている。トマトとササゲのCYP722CやソルガムのLGS1を用いた酵素反応では、基質となるcarlactonoic acid(CLA)や18-HO-CLAが環化し典型的SLを生成物として与える。しかし、これらの反応ではBC環の環化が立体制御なく進行する。植物が生産するSLのC環の立体化学は厳密に制御されているため、SL生合成には立体選択的にBC環の環化を担う因子の存在が想定される。本研究では、BC環立体制御に関わる因子および制御機構を解明する。
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研究実績の概要 |
Carlactonoic acid(CLA)からorobancholへの変換に関わる酵素としてトマトから発見したSlCYP722Cの機能を、精製酵素を調製して厳密に検証した結果、反応産物は18-oxo-CLAであることが判明した。また、18-oxo-CLAは酸性条件で自発的に環化し、orobanocholと、C環の立体が異なるジアステレオマーを与えた。そこで、報告されているトマトの遺伝子発現情報より、既知のストリゴラクトン生合成遺伝子と同調して発現する、立体選択的な環化に関わるタンパク質をコードしていると考えられる候補遺伝子を選抜し、異種発現したタンパク質を18-oxo-CLAと反応させた。その結果、SlSRFと名付けたタンパク質が18-oxo-CLAを立体選択的にorobancholへ変換することを見出した。ササゲのSlSRFホモログであるVuSRFはSlSRFと同様の活性を示した。ベンサミアナタバコ一過的発現系を用いて、蛍光タンパク質を融合したSlSRFのsignal peptideおよびSlCYP722Cを発現させ、細胞内局在を解析した。その結果、両者はともに小胞体に局在していることがわかった。共局在により不安定な18-oxo-CLAのスムーズな受け渡しが可能となっていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CYP722Cの真の酵素機能を明らかにし、植物体からは検出されないorobanchol立体異性体が試験管内で生成する理由を明確にした。このことから、本研究で解明を目指す立体制御因子の存在が強く認識され、その同定に至った。また、小胞体におけるCYP722Cと立体制御因子の共局在を確認し、植物においてorobanocholが立体選択的に生合成される機構の概略を把握できた。
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今後の研究の推進方策 |
植物において立体制御因子が機能していることをさらに検証するために、ゲノム編集によりトマトでSlSRFをノックアウトし、生合成されるorobanocholの立体に変化が認められるか分析する。また、AlphaFold2によるSlSRFタンパク質の構造予測に基づき、環化反応の触媒に重要と考えられるアミノ酸残基を推定し、当該アミノ酸の置換が酵素活性に与える効果を検証する。さらに、基質である18-oxo-CLAとの相互作用を解析し、立体を制御しつつ環化が進行する分子機構を解明する。
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