研究課題/領域番号 |
22K05473
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
藤田 智之 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (10238579)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | Zingiberaceae / ラブダン型ジテルペン / 糖化様反応 / Zingiber / 抗糖化反応 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、糖尿病人口は急激に増加しており、生活習慣の見直し等発症予防に資する方法の開発が喫緊の課題となっている。申請者は、これまでの食経験を見直し、以前から糖尿病予防に有効とされ、機能や構造が未知の二次代謝産物を豊富に含むショウガに着目した。本研究では、終末糖化産物の産生抑制効果を、新規ラブダン型ジテルペンのアミノ基捕捉活性の視点から解明し、糖尿病の予防・改善方法を提案する。
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研究実績の概要 |
研究対象としたショウガは代表的な香辛料の一つであり、和食には欠かせない食材でもある。これまでにショウガ抽出物のメタボローム解析により、窒素を含む複数の化合物(分子式)の存在が示唆されていた。本研究では以前から糖尿病予防に有効とされてきたショウガに着目し、ラブダン型ジテルペンのアミノ基捕捉活性の視点から終末糖化産物(AGEs)の産生抑制効果を検証し、糖尿病の予防・改善方法を提案することを目的とした。 高知県産大生姜をエタノールで抽出し、エタノール抽出物を得た。エタノール抽出物を分配抽出後、得られた酢酸エチル抽出物を各種クロマトグラフィーにより分画した。目的成分を含む画分の精製を進め、4種の窒素含有新規ラブダン型ジテルペン化合物を単離し、それらの構造を各種機器分析により決定または推定した。いずれもラブダン型ジテルペン骨格とピロール環、アルギニン側鎖を有していることを確認した。得られた化合物の化学構造から、ショウガ中の複数のアルデヒド基を有するアフラモジアール等のラブダン型ジテルペン化合物とアミノ酸との糖化様反応生成物ではないかと推察した。今後取得量を増やして、各種機器分析や誘導体化等によりそれらの化学構造を決定する。このほかメタボローム解析から前述の化合物だけではなく、その他のアミノ酸が結合した化合物の存在も示唆されている。これらの化合物についても単離を進め、生成機構を明らかにしてAGEsの産生抑制効果を検証したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大生姜(2021年高知県産)約4 kgをエタノールに浸漬した。抽出後、減圧濾過を行い、得られた濾液をエタノール抽出液とした。エタノール抽出液を濃縮後、ヘキサン、酢酸エチル及び水飽和ブタノールでそれぞれ3回抽出し、ヘキサン層、酢酸エチル層及びブタノール層を得た。LC/MS分析におけるm/z 457及び475の分子イオンピークを指標として酢酸エチル抽出物を分離した。酢酸エチル抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノールのstepwise法)で分離し、11画分を得た。LC/MS分析において、画分8と9に目的化合物と予想される成分が含まれていたことから、さらに精製を進め、目的成分を含むこれらの画分を分離し、最終的にHPLC分取クロマトグラフィーで精製し、m/z 457を示す化合物1~3及びm/z 475を示す化合物4を得た。各化合物をそれぞれ機器分析に供し、化合物1, 2の平面構造を決定し、化合物3, 4の構造を推定した。いずれもラブダン骨格とピロール環、アルギニン側鎖を有していることを明らかにした。化合物3, 4については取得量が少なく、隣接する画分から成分の取得を目指している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は高知県産大生姜から4種の窒素含有ラブダン型ジテルペン化合物を単離し、それらの構造を決定または推定した。化合物3, 4については取得量が少なかったことから、新たに数量を増やして抽出物を調製し、化合物の単離を進める予定である。また、同じ抽出物の別の画分にアミノ酸部分の異なる関連化合物の存在が確認できていることから、これらの化合物についても単離を進める予定である。さらに、同じショウガ科のミョウガから抽出物を調製し、LC/MS分析におけるm/z 457及び475の分子イオンピークを指標として同様の化合物の検索を行ったところ、化合物1~4のほかにアミノ酸部分の異なる複数の関連化合物の存在を確認した。これらの成分についても化合物を単離し、構造解析を進める予定である。 窒素含有ラブダン型ジテルペン化合物はショウガに含まれているアフラモジアール(= ミョウガジアール)や複数のアルデヒド基を有するラブダン型ジテルペン化合物とアミノ酸との糖化様反応生成物と予想されることから、これらの化合物をそれぞれの抽出物から単離、同定する。得られたラブダン型ジテルペン化合物とアミノ酸類との反応を試行し、生成物の構造を明らかにする。本反応では複数の生成物を与える可能性があり、生成条件を検討するとともに生成物の化学構造を決定する予定である。
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