研究課題/領域番号 |
22K05490
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
平田 美智子 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (40544060)
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研究分担者 |
稲田 全規 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80401454)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 骨粗鬆症 / オメガ3脂肪酸 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、社会の高齢化により、閉経後骨粗鬆症や老人性骨粗鬆症の罹患者が増加し、骨粗鬆症の予防・治療による骨の健康維持は喫緊の課題となっている。最近、研究代表者は、DHAが炎症性骨吸収における破骨細胞分化を抑制して骨吸収の抑制作用を発揮することを見い出した。そこで、本研究では、EPAやDHAの代謝体を含むオメガ3脂肪酸の骨への作用解析、抗炎症効果判定、骨粗鬆症モデル動物を用いた有効性評価、質量分析による分子動態を解析する。本課題の実施により、オメガ3脂肪酸の骨代謝制御作用を解明し、新たな骨粗鬆症の予防法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、オメガ3脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)とその代謝体による抗炎症効果や骨細胞への作用を解明し、骨粗鬆症の予防法の開発につなげることである。超高齢社会の到来により、閉経後骨粗鬆症や老人性骨粗鬆症の罹患者は1,200万人を越えて増加しており、日々の栄養摂取による骨の予防は喫緊の課題である。そこで、安全で食品として日常摂取が可能なオメガ3脂肪酸に着目した。EPAやDHAは心血管系疾患や炎症疾患のリスク低減や中性脂肪低下が知られているが、骨粗鬆症への有効性は明らかとなっていない。本課題では、骨への作用メカニズムを解明し、骨吸収と骨形成の双方の骨代謝制御機構を解明し、最終的には、骨粗鬆症に対する有効性を検討し、新たな骨粗鬆症予防法の開発を目指す。令和5年度は、前年度の研究成果をより詳細に解析することを目的に、オメガ3脂肪酸とその代謝体の骨吸収の作用解明においては、引き続き、DHAやEPA、その代謝体の骨吸収抑制作用について、培養系実験により骨代謝作用の解明と詳細な作用機序の解析を実施した。さらに、オメガ3脂肪酸の閉経後骨粗鬆症モデルマウスへの有効性に関する試験を実施した。その結果、オメガ3脂肪酸は、破骨細胞分化抑制作用ならびに骨吸収抑制作用を有することが明らかとなった。オメガ3脂肪酸の骨への作用メカニズムの解析したところ、破骨細胞誘導因子の遺伝子発現を抑制することが認められた。従って、オメガ3脂肪酸が骨量低下を予防・改善する有効な因子であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、前年度の研究成果をより詳細に検討するため、培養系実験により骨代謝作用の解明と詳細な作用機序を解析し、オメガ3脂肪酸とその代謝体について、破骨細胞分化抑制作用と骨吸収抑制作用の解析ならびに骨への作用メカニズムの解析を完了した。また、当初実施予定であった、閉経後骨粗鬆症モデルマウスへの有効性に関する試験を実施した。その結果、オメガ3脂肪酸は、破骨細胞分化抑制作用ならびに骨吸収抑制作用を有し、その作用メカニズムを解析したところ、破骨細胞誘導因子の遺伝子発現を抑制することが認められたことから、骨量低下を予防・改善する有効な因子であることが示唆された。さらに、次年度実施予定であった、EPAとDHA、およびその代謝体の定量解析において、申請者らが有するLC-MSを用い、骨組織より測定サンプルを抽出する方法ならびに最適なカラム選定について、予備検討を行った。これらの成果は令和6年度の本課題を円滑に進め、順調な課題実施の進捗状況を示している。これら理由により、当初の計画以上に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度の研究実施計画は、以下の項目について実験を実施する。閉経後骨粗鬆症モデルマウスへの有効性に関する研究においては、大腿骨よりmRNAを抽出し、骨吸収関連因子の遺伝子発現、骨形成関連因子の遺伝子発現調節を解析して、骨細胞への影響を調べる。これらより、閉経後骨粗鬆症におけるDHAあるいはEPAの治療効果を立証する。さらに、閉経後骨粗鬆症モデルマウスにおけるEPAとDHA、およびその代謝体の定量解析においては、申請者らが有するLC-MSを用い、骨組織より測定サンプルを抽出する。最適なカラム選定作業としてEPA、DHA、およびその代謝体の精製標品を用いた予備検討を行い、MS/MS解析による分子の同定が可能となっている。本分析法を活用し、EPAおよびDHAのデリバリー解析、さらに、その代謝体の定量解析を行い、閉経後骨粗鬆症への治療効果を解析する。以上、研究計画あるいは研究を遂行する上での障壁はなく、順調な課題実施が可能である。
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