研究課題/領域番号 |
22K05501
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
安藤 宏 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (30312094)
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研究分担者 |
Hossain M.Zakir 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (40792445)
海野 俊平 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (80418920)
北川 純一 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (50373006)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 嚥下 / TRPチャネル / TRPV4 / TRPV1 / TRPM8 / TRPA1 / 上喉頭神経 / Piezoチャネル |
研究開始時の研究の概要 |
新規食品・飲料の開発時に官能評価が行われるが、その感覚受容のメカニズムはよくわかっていない。飲食物を嚥下する時の感覚は、咽頭・喉頭で生じる様々な刺激の複合感覚であり、「嚥下し易さ」も「のど越しのおいしさ」の1つの要素と考えられる。私達は上喉頭神経に発現するTRPV1チャネル等を介する嚥下の促進効果を報告した。しかし、TRPチャネルには嚥下への関与が明らかでないものが多くあり、機械受容器のPiezoチャネルも関与の可能性が考えられる。 本研究では1)上喉頭神経におけるTRPやPiezoチャネルの発現を免疫組織学的方法により調べる。2)このチャネルの阻害薬等による神経応答や嚥下誘発の変調を検討する。
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研究実績の概要 |
嚥下の誘発には、上喉頭神経(SLN)が支配する咽頭・喉頭領域の感覚入力が重要である。我々はこれまでに上喉頭神経に発現するTRPV1、TRPM8、TRPA1を介した感覚入力が嚥下を促進することを報告した。しかしながら、TRPチャネルにはこれらの他に嚥下反射との関連が明らかになっていないものが多数ある。TRPV4は、これまでに温度受容器、化学受容器、機械受容器、浸透圧受容器であることが報告されているが、嚥下反射との関連は明らかになっていない。SLNの感覚神経節複合体NPJcにおいて、SLNの感覚神経の細胞体の約25%がTRPV4免疫陽性を示した。RT-PCRにより、NPJcにTRPV4のmRNAの発現が観察された。咽頭・喉頭領域へ投与したTRPV4アゴニスト(GSK 1016790A)は嚥下誘発を促進し、TRPV4アンタゴニスト(RN 9893)はこの嚥下促進効果を減弱した。また、TRPV4アンタゴニストは、この領域の水刺激に対するSLNの感覚神経応答と嚥下反射を減弱した。これらの結果は、SLNに発現するTRPV4が、咽頭・喉頭領域の水刺激を受容する低浸透圧受容器の候補の1つであり、SLNのTPRV4からの感覚情報が嚥下反射を促進したことを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TRPV4チャネルの発現を上喉頭神経の感覚神経において観察できた。TRPV4チャネルのアゴニストやアンタゴニストが嚥下誘発におよぼす影響を観察できた。TRPV4チャネルのアンタゴニストが、水刺激によるSLNの感覚応答と嚥下誘発を減弱する効果を観察できた。
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今後の研究の推進方策 |
TRPV4は化学刺激、機械刺激、浸透圧刺激など様々な刺激に応答する受容器であることが示唆されている。TRPV4アンタゴニストが水刺激による上喉頭神経の感覚応答と嚥下誘発を減弱する効果を確認できた。TRPV4が受容しているのが、水であるか、溶液の低浸透圧であるかを調べる必要がある。TRPV4は機械刺激を受容することも報告されているので、機械刺激による嚥下誘発にTRPV4が関与しているのかを調べる必要がある。
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