研究課題/領域番号 |
22K05503
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
安達 真一 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 講師 (10747041)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 高尿酸血症 / 痛風 / ポリフェノール / 肝細胞 / 腎細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
痛風患者は我が国において110万人を超え、その予備軍である高尿酸血症患者は1000万人以上と推定され、現在もその数は増加傾向にある。尿酸値の上昇を抑制する新規食品由来成分の可能性が期待される。血中の尿酸濃度は、主に肝臓での尿酸産生能と腎臓から尿酸排泄能のバランスに依存する。本研究では、肝細胞において尿酸産生を抑制する食品成分、および腎細胞において尿酸排泄を促進する食品成分を探索し、動物実験系ではその有効性を検証するとともに、分子生物学的手法・生化学的手法を用いて、その作用機序について検討を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、細胞培養系および動物実験系を用いて、痛風の基礎病態である高尿酸血症の予防・改善に有用な新規の天然物・食品由来成分を発掘し、その尿酸値低下のメカニズムを解明することにより、ヒトへ応用するための基礎的な知見を得ることを目的とした。高尿酸血症の原因のひとつに、尿酸の前駆体であるプリン体を多く含むレバー類や白子などの食品の過剰摂取が挙げられる。食事由来のプリン体は、尿酸の主要な生産工場である肝臓においてキサンチンオキシダーゼ(XO)など複数の酵素により尿酸に代謝され、血中に放出される。 小麦、特に小麦ふすまには、フェルラ酸、カフェ酸、バニリン酸など様々なポリフェノールが含まれていることが報告されている。これらのポリフェノールは、様々な生理活性を有することが示されているが、尿酸値低下作用を有するかについての報告は極めて少ない。そこで令和5年度は、小麦ふすま含有ポリフェノールが尿酸値低下作用を有するか検討を行った。培養肝細胞を用いた検討の結果、尿酸の産生を用量依存的に抑制する複数の化合物を新たに見出した。そのうちのひとつであるフェルラ酸は、小麦ふすまに最も多く含まれているポリフェノールである。次に、動物レベルにおいてもフェルラ酸が抗高尿酸血症作用を有するかについてプリン体誘導性高尿酸血症モデルマウスを用いて検討したところ、フェルラ酸はプリン体投与による尿酸値の上昇を有意に抑制することが明らかとなった。今後は、フェルラ酸の尿酸値低下作用のメカニズムの解析を進める。血中の尿酸濃度は主に肝臓での尿酸産生能と腎臓から尿酸排泄能のバランスに依存するため、肝臓と腎臓を中心に解析を行い、肝臓においては、XO活性、XOタンパク質発現、各種プリン体代謝酵素の遺伝子発現の解析を行う。腎臓においては、URAT1やGLUT9等の尿酸排泄トランスポーターのタンパク質および遺伝子発現の解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小麦ふすまに含まれるポリフェノールを主な対象として培養肝細胞による尿酸産生抑制能の評価を実施した。その中でフェルラ酸などの複数の有効な化合物を見出した。プリン体誘導性高尿酸血症モデルマウスを用いた検討により、フェルラ酸は動物レベルにおいても尿酸値低下作用を有することを明らかとした。現在はフェルラ酸の尿酸値低下作用のメカニズムについて解析を進めている。以上を総合的に鑑みると、現在のところ研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今回新たに見いだしたフェルラ酸の尿酸値低下作用のメカニズムについて肝臓と腎臓を中心に解析を進め、ヒトへ応用するための基礎的な知見を得る。また引き続き、細胞培養系および動物実験系を用いて、高尿酸血症の予防・改善に効果的な天然物・食品由来成分の発掘を行う
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