研究課題/領域番号 |
22K05509
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
菊地 あづさ 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (30452048)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 一重項酸素 / 食用色素光増感分子 / キサンテン系色素 / フロキシンB / エリスロシンB / インドール / 食用色素増感分子 / インドール誘導体 / 一重項酸素生成抑制 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,リボフラビンに代表される食用色素光増感による一重項酸素生成の抑制剤として機能する分子を開拓し,一重項酸素の生成抑制方法の素課程を実験的に究明し,生体内分子光増感による一重項酸素生成の抑制システムを構築する。
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研究実績の概要 |
一重項酸素の光増感生成は,光酸化,DNA損傷,光線力学療法の分野において研究がなされてきた.人体に有害な作用を及ぼす側面のある一重項酸素を速やかに消去する化合物については,抗酸化機能の面から注目され,多くの化合物について生成した一重項酸素を効果的に消去する指針の一つとして,一重項酸素消光速度定数が報告されている. 食品の酸化には活性酸素種が関わっていることが知られており,特に脂質過酸化に関係する活性酸素種はDNAの損傷や突然変異,細胞のがん化,老化に深く関与することが報告されており,効果的な酸化防止の手段が求められている。従来の研究はすでに光増感物質から発生した一重項酸素の消去に有効な抗酸化物質の開拓が中心に行われてきた。一重項酸素は体内で発生すれば,その高い酸化力により直ちに酸化反応が進行し,細胞の損傷といったダメージを引き起こす。このため,生体内で食用色素分子が一重項酸素の光増感剤として作用した場合,生成した一重項酸素を速やかに消去するとともに,一重項酸素の発生そのものを抑制することが重要であるが,生成抑制の研究報告はほとんどないため,本研究では,食用色素光増感分子からの一重項酸素生成自体を抑制する抑制機構の構築および解明を目的とした. 本年度は食用色素であるキサンテン系食用色素分子の一つであるフロキシンB(PhB)の光増感反応により生成する一重項酸素由来の1274 nm近赤外発光のtime profile測定結果の定量的な解析およびキPhBの過渡吸収測定を行い,インドール誘導体が一重項酸素生成抑制分子として機能するか,一重項酸素近赤外発光のtime profile測定および過渡吸収スペクトル測定より解明した。さらに,インドール誘導体置換基効果について検討し,電子供与性あるいは電子求引性置換基の導入により,一重項酸素生成抑制の効果が異なることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エリスロシンBおよびフロキシンBをはじめとするキサンテン系色素が光増感分子となる一重項酸素生成についてインドール誘導体が抑制効果を示すことを一重項酸素由来の1274 nm 近赤外発光のtime profile測定およびエリスロシンBおよびフロキシンBの光励起三重項状態の過渡吸収time profile測定の結果を定量的に解析することで明らかにした.この結果は,インドール誘導体が異なる一重項酸素光増感分子に対して一重項酸素の生成を効果的に抑制することを意味しており,一重項酸素生成抑制分子のさらなる開拓につながることが期待されるから.
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今後の研究の推進方策 |
キサンテン系色素の光増感により生成する一重項酸素の生成抑制に効果的な分子骨格を見出すため,生体内抗酸化作用が知られているカテコール類,フラボノイド類について一重項酸素近赤外発光のtime profile測定および過渡吸収スペクトル測定より,一重項酸素生成抑制効果について解明していく.生体内関連分子よる一重項酸素抑制効果についてより多くの知見を得ることで,一重項酸素の生成抑制に効果的な分子骨格を見出すことを目指す。
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