研究課題/領域番号 |
22K05514
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
福井 浩二 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (80399807)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ミトコンドリア / 抗肥満 / トコトリエノール / マウス / 抗酸化 |
研究開始時の研究の概要 |
肥満者数増加は大きな社会問題となっている.その一方,ビタミンE(E)の一種トコトリエノール(T3)には抗肥満効果があるが,作用メカニズムは不明である.肥満マウスへのT3投与は,脂肪組織への選択的なT3の集積と腎周囲脂肪量の有意な減少を起こす.そこで本研究では,高脂肪食にT3を同時添加したマウスの呼吸代謝を測定し,T3が呼吸代謝能へ関与することを証明する.また,脂肪組織の単離ミトコンドリアにおけるT3量,ATP量,膜の酸化度,膜電位等を測定することで,T3がミトコンドリア恒常性を維持していることを立証する.これより,食事由来のT3の継続的な摂取で,肥満を予防・体重が減らせる社会の実現を目指す.
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研究実績の概要 |
ビタミンEの一種トコトリエノール(T3)による抗肥満効果のメカニズムを解明する目的で実験を実施。実験の一部は東京都健康公寿医療センター研究所とも共同で実施している。成果については、日本語での総合論文を執筆、国内学会で6件、国際学会で4件発表を実施した。2022年度は高脂肪高糖質食(High-Fat and High-Sucrose, HFSD)をマウスに与えて肥満モデルを作成し、T3添加による抗肥満効果の有無を検討した。結果としてT3には抗肥満作用はあるが、全てのタイプの肥満に効くわけではない可能性が伺えた。よって、高脂肪食投与モデル(High-Fat、HFD)に特化して検討を実施中である。ミトコンドリアとの関連を探るために、複数の特異的タンパク質の発現変化と遺伝子解析を実施した。サンプル数はまだ少ないものの、ミトコンドリアの融合・脱融合不全が関与している可能性が伺えた。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の解析からは、脂肪組織中には比較的高容量のT3が検出できたため、脂肪燃焼等にT3が関与する可能性がある。また、肥満で脳酸化が亢進しているかの検討は様々な課題に直面している。肥満で脳酸化が亢進しているか自体の判定よりも、技術的な問題が大きいと認識している。他研究者にもアドバイスを受けているが、脳組織の還流固定方法含め、ターゲットタンパク質そのものの選択し直しを含め考慮が必要との認識である。大枠に関しては順調に研究が進捗したため、2023年度はそれぞれの詳細について検討を進めることとする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ビタミンEの一種トコトリエノール(T3)による抗肥満効果のメカニズムを解明する目的で、今年度は高脂肪高糖質食(High-Fat and High-Sucrose, HFSD)をマウスに与えて肥満モデルを作成し、T3添加による抗肥満効果の有無を検討した。その結果、モーリス水迷路試験の認識機能の改善や、脂肪組織へのT3の集積は確認したものの、有意な抗肥満効果を得ることはできなかった。よって、T3による抗肥満効果は高糖質由来では効果を発揮しない可能性があることが分かった。この事は、全てのタイプの肥満に対してT3が抗肥満効果を有するわけではないことを示している。また、メカニズム解明に対しても糖代謝系への関与が低いことを示している可能性がある。 また、ミトコンドリアの関与を検討するために、肥満モデルとは別に明らかにミトコンドリア異常が起きているであろうと疑われるマウスモデル(非公表)を用いて検討を実施した。ターゲットとして、ミトコンドリアの融合と脱融合のバランス異常が生じており、その結果、ミトコンドリアの恒常性破綻、機能不全が起きていると想像し、これらの関連遺伝子のプライマーを作製しqPCRを行った。しかし、一つの遺伝子のみなかなか増幅効率が規定に範囲内に収まらず苦労したが、ようやく、目的とする遺伝子のすべてにおいてqPCRが可能となった。 よって、2023年度に向けて餌の給仕、行動試験、分子生物学的解析での方向が定まった。
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今後の研究の推進方策 |
今後はまずはミトコンドリア異常が起きているポジティブコントロールマウスで遺伝子発現の変化を明確としたのちに肥満モデルで同様の変化について検討する予定である。同時にポジティブコントロールマウスを用いて行ったWastern blotは順調には進んでいるが、サンプル数がまだ少ないため、2023年度も引き続き実験を行う。これらをまとめたのち、肥満モデル動物における検討を実施する。なお、既に肥満モデルマウスは作成している。2022年度の結果を踏まえ、高脂肪食投与モデル(High-Fat、HFD)を作成して実験を行っている。これまでの所、先行して実施したHFSDでは想定より脳酸化が亢進していなかった。よって、現在実施中のHFDモデルにおけるミトコンドリア解析に期待したい。また、同時に呼吸代謝試験を実施し、T3投与が呼吸所に及ぼす影響についても検討する。
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