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構造脂質を活用した食用油脂劣化メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K05520
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分38050:食品科学関連
研究機関地方独立行政法人大阪産業技術研究所

研究代表者

佐藤 博文  地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 主任研究員 (70443546)

研究分担者 渡辺 嘉  地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究室長 (60416310)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード脂質劣化 / 酸化 / 構造脂質 / エーテル結合
研究開始時の研究の概要

食用油脂の主成分であるトリアシルグリセロール (TAG) は酸化・加水分解により劣化し、独特のにおいや風味を放って食品のおいしさを低減させるだけでなくがんなど疾病の原因となっている。食品中のTAGは基質と劣化生成物の両面で非常に複雑であり、分析系も乏しく研究が困難であった。
本研究では、この問題を解決するために、単一構造を有する構造TAGおよびその類縁体を化学合成し、この劣化生成物をHS-GC/MSMSやLC-Q-TOFMS分析を行うことにより、TAGの脂質劣化メカニズムの解明を行う。

研究実績の概要

食用油脂の主成分であるトリアシルグリセロール (TAG) は種々の要因で劣化して風味劣化の原因となる極性化合物となるだけでなく、肝細胞がん等の形成にも関与している。そのため、我が国でも食品に酸価等を指標とした基準が設けられている。脂質の劣化メカニズムは非常に複雑であり、食品中の脂質の劣化をそのままの状態で分析することは困難である。そこで本研究では、単一構造の構造TAGを有機合成し、これを基質として劣化挙動を観測し、TAG劣化における隣接アルキル基の影響を解明することを目的としている。初年度では構造トリオレインを合成し劣化実験を行った。その結果、劣化進行に伴い生成するアルデヒドの炭素数が減少することが分かった。二年目である2023年度では炭素数が減少する原因を明らかとするために、劣化初期に生じるノナナールを基質に劣化実験を行った。その結果、オクタナール、ヘプタナールなどのより短鎖のアルデヒドが生成していることが分かった。他にもギ酸オクチル等のギ酸エステルおよびオクタノール等のアルコールが生成していることを考慮して、Baeyer-Villiger型の酸化反応と加水分解の繰り返しにより炭素数が減少するという仮説にたどりついた。これらの結果については、質量分析学会、日本油化学会、日本化学会で学会発表を行った。また、2024年度以降に行う計画であったエーテル結合を有する脂質について、エピクロロヒドリンを出発物質とする位置選択的合成法を開発した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2024年度では、前年度合成した構造トリアシルグリセロール (TAG) を用いて劣化実験を行う計画をしていた。これらについては完全に達成することができた。また、劣化物として減炭素されたアルデヒドの生成メカニズムを解明するために、種々のアルデヒドを原料に劣化反応を追跡し、Baeyer-Villiger酸化によるギ酸エステルの生成とこの加水分解が減炭素アルデヒド生成のキーとなっていることをつきとめた。トリアシルグリセロールのLC-QTOF/MSについてもコアシェルカラムを用いた分離メソッドを確立した。以上のように、研究を提案書に記載のとおり進め、おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

現在までの進捗状況において、提案書に記載の通り実験をすすめ、おおむね順調に進捗している。トリアシルグリセロール (TAG) の劣化によって生ずる微量のガスが炭素鎖9以下のアルデヒドとカルボン酸がメインであることがわかり、Baeyer-Villieger酸化によってギ酸エステルを通じた減炭素反応によってより短鎖のアルデヒドが生じていることも分かった。今後は構造トリアシルグリセロールの劣化生成物である各種アルデヒド、各種ギ酸エステル、各種アルコール、各種カルボン酸を基質に劣化を評価し、より詳細な物質変換について調べていく。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Regiospecificity of Immobilized <i>Candida antarctica</i> Lipase B (CAL-B) towards 2,3-Diacyl-1-<i>O</i>-alkyl Glyceryl Ether in Ethanol2024

    • 著者名/発表者名
      Sato Hirofumi、Hashimoto Naoki、Watanabe Yomi、Ohtaka Atsushi
    • 雑誌名

      Journal of Oleo Science

      巻: 73 号: 1 ページ: 55-63

    • DOI

      10.5650/jos.ess23153

    • ISSN
      1345-8957, 1347-3352
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] HG-GCMS分析による構造トリアシルグリセロールの酸化劣化ガスの経時変化2024

    • 著者名/発表者名
      佐藤博文、服部幸太朗、大高敦
    • 学会等名
      日本化学会第104春季年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] HS-GC-MSによるトリオレイン劣化ガス評価2023

    • 著者名/発表者名
      〇佐藤博文、服部幸太朗,大高敦,靜間基博,川野真太郎
    • 学会等名
      第71回質量分析総合討論会2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 構造トリオレインを基質とした酸化劣化評価2023

    • 著者名/発表者名
      服部幸太朗、渡辺嘉、大高敦、佐藤博文
    • 学会等名
      日本油化学会第61回年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] CAL-Bによる2,3-ジアシル-1-O-アルキルグリセリルエーテルのエタノリシスに対するアルキル鎖長の影響2023

    • 著者名/発表者名
      橋下尚樹、渡辺嘉、大高敦、佐藤博文
    • 学会等名
      日本油化学会第61回年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] CAL-Bによる2,3-ジアシル-1-O-アルキルグリセリルエーテルのエタノリシスにおける位置選択性2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤博文、橋本尚樹、渡辺嘉、大高敦
    • 学会等名
      日本油化学会第61回年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 2,3-ジオレオイル-1-ドデシルグリセリルエーテルのリパーゼによるアシル基分解機構2023

    • 著者名/発表者名
      橋本尚樹、佐藤博文、大高敦
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] トリオレインの酸化によって生ずる劣化化合物の経時変化2023

    • 著者名/発表者名
      服部幸太朗、佐藤博文、大高敦
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] フードケミカル2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤博文
    • 総ページ数
      4
    • 出版者
      株式会社食品化学新聞社
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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