研究課題/領域番号 |
22K05523
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
服部 誠 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40221501)
|
研究分担者 |
好田 正 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20302911)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | β-conglycinin / fnctional improvement / protein conjugation / bioconjugation / pectin / functional improvements / soy protein / beta-conglycinin |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、食品タンパク質のうち、主要な大豆タンパク質であるβ-コングリシニンをターゲットとして用い、低抗原性・免疫原性であるペクチンを、メイラード反応により結合し、実際の食品に応用可能な可食性のバイオハイブリッドを創出する。ペクチンとしては低メトキシペクチンならびに高メトキシペクチンを用いる。本研究により、溶解性、乳化性などの機能特性の向上を達成し、同時に低アレルゲン化に繋がる抗原性・免疫原性の低減化を達成できることを実証する。得られたバイオハイブリッド分子の構造解析を行い、多面的な機能改変の根源となるバイオハイブリッド分子の構造機能相関についての知見を得る。
|
研究実績の概要 |
【目的】大豆タンパク質のβ-コングリシニンは、乳化性やゲル化性といった機能特性を持つ。また、脂質代謝異常や血中コレステロールの改善効果などを有する有用な食品素材である。一方で、弱酸性条件下での機能特性の低下や、大豆アレルギーの原因物質となることが食品利用における課題となっている。本研究では、メイラード反応を用いて、β-コングリシニンと多糖とを複合体化させることにより、機能特性の向上や低アレルゲン化を図ることを目的とした。多糖として2種類のペクチン(LMP : 低メトキシペクチン、HMP : 高メトキシペクチン)を用いた 【方法】β-コングリシニンは等電点沈殿とQ-Sepharose Fast Frowを用いた陰イオン交換クロマトグラフィーにより、脱脂大豆粉末から抽出・精製した。β-コングリシニン:ペクチン=1.0:5.0(重量比)となるように、6 M塩酸グアニジン溶液内で精製β-コングリシニンおよびLMP、HMPを混合し、蒸留水に対して透析後、凍結乾燥させた。これらを温度65℃、相対湿度79%の条件下でそれぞれ5、7日間メイラード反応させ、β-コングリシニン-LMP複合体およびβ-コングリシニン-HMP複合体を調製した。複合体化はSDS-PAGE後のクマシーブリリアントブルー染色およびPAS染色によって確認した。自然蛍光およびCDスペクトルを測定し、複合体の構造解析を行った。 【結果】メイラード反応を用いた複合体化により、目的とするβ-コングリシニン-LMP複合体およびβ-コングリシニン-HMP複合体を得た。 自然蛍光測定の結果、2種類の複合体とも、β-コングリシニンのアミノ基が糖により65%程度遮蔽されたことを確認した。CDスペクトル分析の結果、β-コングリシニンの二次構造が変化しており、特にβ-コングリシニン-HMP複合体ではランダムコイルの増加が認められた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はβ-コングリシニンとペクチンのハイブリッド化の条件を検討し、2種のペクチンとのハイブリッド化に成功した。機能発現に重要な構造の解析を行い、タンパク質のネイティブ構造をある程度維持した状態でハイブリッド化できたことを明らかにした。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度では、ハイブリッド化の条件の確立までには時間を要したが、概ね順調に実験を遂行できた。2年目はハイブリッドの機能について検討を進める予定である。今後は、ハイブリッドの溶解性、乳化性、免疫学的性質について、順に明らかにする予定である。
|