研究課題
基盤研究(C)
食用油の不飽和脂肪酸を水素添加処理で全て飽和脂肪酸にした極度水添油脂を実験動物に摂取させると、ドコサヘキサエン酸の取り込みが上昇し、病態モデル動物の改善作用につながった。これは、極度水添油脂の主成分であるトリステアリン(TS)、もしくはこれが形成したミセル(TSM)による選択的な取り込みが起きたと推測された。本研究ではTS/TSMの応用の可能性を検討すべく、1)TSMの形成条件と取り込み物質の選択性の検討。2)TS/TSMによる機能性分子の培養細胞と実験動物への移行性検討。3)TS/TSM摂取による安全性の確認。を実施し、これらの検討を元に、「食べるDDS」の開発を目指す。
完全水素添加菜種油(FHCO)を脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP)に摂取させると、致死性の脳卒中をはじめとする各種病態が抑制される。この現象は、植物ステロールの蓄積抑制や、ドコサヘキサエン酸(DHA)の蓄積増加など特異的な分子輸送が関与すると推測される。この分子輸送にFHCOが関与することを仮説として、FHCO、または、主成分のトリステアリンを利用した特異的分子輸送の可能性を検討することとした。その中で本研究ではトリステアリンを用いた食べるミセル開発を目的とした研究を行っている。1.昨季より取り掛かっていたリパーゼ処理によるトリステアリンのミセル作成を引き続き検討した。乳化剤や他の脂肪酸の添加も試みたが、現在のところうまくいっていない。現在、遊離脂肪酸から合成した系で化合物を内包したミセル形成を取り組んでいる。2.培養細胞に対してトリステアリンを薬物と併用したところ、その薬物の効果が増強されるものが複数観察された。しかし、一部においては再現性が認められないものがあり、また、細胞の種類によっても特異性があることがわかり、その詳細について、検討を行う必要がある。また、微生物を用いた検討も並行して進めているが、そちらについては明確な結果は得られていない。3.動物実験の検討は今期は実施できなかった。SHRSPでの検討は十分に行っているので、今後は正常動物への投与を中心に、長期投与における安全性も含めて検討を行いたい。
4: 遅れている
学内業務や学会活動で緊急かつ重大な業務が重なったため、研究に費やす時間が確保できなかった。また、昨年に引き続き体調が芳しくないため、思うように実施できない面もある。
昨年実施できなかったin vivoの実験を中心に行う。現状、トリステアリンの併用により生理活性が増強された化合物を実験動物に投与し、その影響を比べる。また、トリステアリンを正常動物に長期投与し、その安全性の検討も行う。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
Food Science & Nutrition
巻: Early view 号: 6 ページ: 1-16
10.1002/fsn3.4111
脂質栄養学
巻: 31 号: 1 ページ: 45-54
10.4010/jln.31.45
https://www.gifu-pu.ac.jp/lab/seitai-joho/