研究課題/領域番号 |
22K05528
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
八百板 富紀枝 東北医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (00382672)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 咀嚼 / 便通異常 / 咬筋 / 腸内環境 |
研究開始時の研究の概要 |
柔らかい食品の摂取は咀嚼回数の減少を招くと考えられる。これに関連し申請者は、長期粉末食で飼育したマウスが、血糖値や血清ストレスホルモン値の上昇、情動発達の障害並びに便通異常を示すことを見出している。 そこで本研究では、長期粉末食飼育マウスの各症状のうち、特に便通異常の発現メカニズムを解明することを目的として、腸内環境、すなわち腸内細菌叢や腸内免疫システムの維持における食品の物性や咀嚼様運動負荷の影響に着目した検討を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、長期間粉末食で飼育したマウスの便通異常発現メカニズムの解明並びに食品の物性と食習慣、特に咀嚼が腸内細菌叢や腸内免疫システムを含めた腸内環境の維持に与える影響を明らかにすることを目的としている。具体的には、1)経日的な症状の変化、2)各免疫細胞の関与、3)咀嚼様運動の負荷、以上の三点について包括的な検討を実施する。 これまでに、粉末食飼育を離乳直後より開始したマウスを用いて、飼育17週目に便通異常が引き起こされ、その際、結腸における好中球の活性化や軽微な炎症を伴うこと、AQP4の発現が増加すること、盲腸内容物において短鎖脂肪酸濃度が減少することを確認した。これらのこと踏まえて今年度は、飼育12週目の粉末食飼育マウスに酪酸ナトリウムを腹腔内に1か月間投与し、飼育17週目における便通異常について検討を行った。その結果、溶媒投与群と酪酸ナトリウム投与群との間に差が認められないことが明らかとなり、本条件では便通異常に対する改善効果が認められないことが判明した。 また、粉末食飼育12週目から固形食へと餌を置換し、そこから1か月間、すなわち17週目における便通異常について検討を行ったところ、有意な便通異常の改善効果並びに結腸における好中球及びAQP4の発現量が減少することを新たに見出した。このことから、腸内環境の維持において食品の物性に起因する習慣的な咀嚼の重要性が示唆された。 さらに、咀嚼にかかわる咬筋における好中球発現量について以下の条件について検討を行った。すなわち、離乳からの粉末食飼育2週目、17週目、12週目から固形食へと餌を置換し、そこから1か月間、すなわち17週目並びに固形食飼育12週目から粉末食へ餌を置換し、そこから1か月間、すなわち17週目に咬筋を採取し検討を行ったところ、飼育2週目の粉末食飼育マウスにのみ、有意な好中球発現量の減少が認められることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度において、当初予期していないことは起こらなかった。しかし、咀嚼様運動負荷の影響についての検討結果を示すことが出来ていない。これについては、着手はしているが例数を増やしている段階にあるためであり、次年度以降には検討結果を示す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、例数が不足している咀嚼運動負荷を継続的に施す検討を進めていく予定である。また、このような咀嚼運動の負荷や粉末食から固形食への置換の影響は、粉末食飼育誘発の便通異常のみならず異常行動の発現にも影響する可能性が考えられる。そのため、腸内環境、咀嚼運動並びに中枢神経系を包括的に捉えたかたちで解析を実施する予定である。
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