研究課題/領域番号 |
22K05542
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
|
研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
下山田 真 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (60235695)
|
研究分担者 |
増田 勇人 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 講師 (90781815)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | 豆乳 / 脂質 / タンパク質 / 凝集体 / 濃縮 / 相互作用 / 油滴 / 凝集 / 複合体 |
研究開始時の研究の概要 |
豆乳中の脂質粒子とタンパク質粒子との相互作用によって複合体が生成する条件を明らかにする。そのために豆乳をあらかじめ遠心分離や膜分離で脂質粒子とタンパク質粒子に分画する。各画分を様々な温度や濃度の下で変化させたのちに混合して相互作用が起きるかどうか調べる。さらに無機塩、糖、界面活性剤などを添加した場合についても調べることで複合体が生成する条件を見出す。次に、相互作用の結果生成した複合体の構造を明らかにする。そのために複合体の粒子としての性質を調べるとともに様々な特殊な顕微鏡を用いて複合体を直接観察することで複合体の構造を推定する。
|
研究実績の概要 |
前年よりショ糖添加系にて遠心分離した後に、透析してショ糖を除いたタンパク質画分は、その分散安定性の低いことが示されている。そこで、ショ糖無添加系で市販豆乳を遠心分離したところ、分散安定性の高い上清を低脂肪豆乳として得ることができた。この低脂肪豆乳中の脂質成分は市販豆乳の約1/3であった。このことからオイルボディーを多少含んでいることが分散安定性に寄与しているものと推測されたが、ミネラル、オリゴ糖等の影響についても検討する必要があるものと考えられた。 次に得られた低脂肪豆乳画分と遠心分離上清であるオイルボディー画分を組み合わせて得られた再構成豆乳の粘度特性であるコンシステンシー(K)について検討した。各画分に対する加熱の影響について検討すると、低脂肪豆乳画分とオイルボディー画分を混合したのちに加熱すると、そのKは単独で加熱するより大きくなり、流動性指数は逆に低下した。このことよりオイルボディーとタンパク質が共存しているときに加熱の影響が大きくなっていることが示され、タンパク質とオイルボディーの相互作用が加熱変性による粘度上昇に影響しているものと考えられた。ただし、オイルボディー画分を加熱すると分散性は低下したため、分散性の評価を加味して再評価することが必要と考えられた。 低脂肪豆乳とオイルボディーを添加した市販豆乳を濃縮後に粘度測定したところ、前年の結果とは異なりオイルボディーの割合が増えるにつれてKは低下した。この理由として透析を行っておらずミネラルや糖などの低分子成分が除かれていないことが影響しているものと考えられたが、さらに詳細に成分分析などを行う必要があるものと考えた。昨年の結果においてもオイルボディーの添加は分散安定性の向上を示しており、オイルボディーとタンパク質の相互作用が分散系の安定化に寄与していることは間違いないものと考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年の検討において、膜分離による豆乳の分画が不調であったために分画条件を遠心分離に変更した。その際オイルボディーとタンパク質画分の分離効率を高めるためにショ糖を添加した系において豆乳の遠心分離を行った。得られた分画物中からショ糖を除くために透析を行ったところ、タンパク質画分の分散性低下がみられ、濃縮操作そのものが難しくなった。オイルボディー粒子を添加することで分散性が再度向上することがみられ、新しい知見となった。さらに透析操作を省略するために分画効率の低下を前提にショ糖を添加しない系での豆乳の遠心分離を試みた。こうした豆乳の分画手法の変更のために最初に予定したデータ取得からは条件検討に要した時間の分だけ遅延が発生している。 合わせて分画したオイルボディー画分は加熱によって分散性の低下がみられ、分散性を確保するためにホモゲナイザーを用いたため、分散状態に対するホモゲナイザーの影響についても再検討が必要となっており、再検討部分によって全体の進行がやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
ショ糖無添加系での遠心分離によって、収量は低いものの低脂肪豆乳を安定的に得られる系が確立し、得られた画分を用いてデータの取得が可能となった。そこで、今後はタンパク質画分を低脂肪豆乳に置き換え、脂質含量の比率を考慮したうえで低脂肪豆乳とオイルボディー画分の混合状態での豆乳の相互作用を解析する。さらにオイルボディーの分散性改善としてホモゲナイザーが利用可能であったので分散系に対するホモゲナイザーの影響を適切に評価する。最終的にはタンパク質と脂質の相互作用について考察し、初期の目的を達成しようとしている。
|