研究課題/領域番号 |
22K05543
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 柴田学園大学 |
研究代表者 |
奥野 海良人 柴田学園大学, 生活創生学部, 准教授 (50623980)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | トリプトファン / キヌレニン / TDO / IDO / 脳神経疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
精神疾患の多くは根本原因が明らかにされていないが、脳内で神経細胞の活動に影響を及ぼすトリプトファン‐キヌレニン(Trp-KYN)代謝経路の代謝物が原因の一つであると考えられている。これまでは脳内でTrp-KYN代謝を調節している酵素IDOの活性がよく取りざたされてきたが、脳内に限局せずに考えると肝臓の酵素TDOの方が盛んにKYNを合成し、脳内に輸送している。即ち精神疾患の根本原因の一つは小腸や肝臓等の末梢にある可能性がある。 そこで本研究の目的は、栄養やストレス等による腸-肝-脳軸におけるTrp代謝変化の関係を明らかにし、精神疾患の予防および治療方法開発のための科学的基盤を提供する事である。
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研究実績の概要 |
8週齢Wistar系雄性ラットを用い、最も基本となる食事の影響について検討したところ、空腹時にくらべ精製食を3時間自由に摂食させた後(満腹時)では、血中トリプトファン(Trp)濃度は約1.6倍、脳中では約1.4倍とどちらも有意に増加していた。しかしながらTrp代謝物であるキヌレニン(KYN)は血中で変化せず、また脳中では平均値で減少する傾向が認められた。食事が強く影響を及ぼすと考えられる小腸と肝臓におけるTrp代謝酵素IDOおよびTDOの活性を測定してみたところ、食事の影響によって肝臓ではTDOの活性が低下し、小腸ではIDOの活性が低下しているパターンが認められた。さらに詳細に通常の精製食の摂取による経時変化を調べたところ、摂食後7.5分で肝門脈のTrp濃度は最高値を示し、その後60分までの間に漸減することが明らかとなった。このパターンに一致して、小腸IDOは摂食後30分から活性が約1/2に減少していることから、門脈中Trpが増加しているにもかかわらず、KYNがほとんど増加しない原因は小腸のIDOによるものと推察された。さらに血中KYN濃度は門脈血から肝臓を経由した後には空腹時とほとんど変わらない濃度に減少しており、肝臓のKYN緩衝作用が考えられた。実際に肝臓の主要なTrp代謝酵素TDOは摂食後約15分で活性が約1/2に低下しており、小腸IDOおよび肝臓TDOが食後の血中KYN濃度の維持に重要な役割を果たしている可能性がある。急性炎症、肝障害、腸内環境の撹乱が血中および脳中KYNのレベルに及ぼす影響について調べていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
通常の食事による影響を考慮するための実験を行ったところ、想定していたよりも大きな影響が認められたためその精査に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は通常食を摂食しているラットにおける血中KYNの日内リズムを調べ、その後各種アミノ酸添加食やトリプトファン制限食飼料の影響を調べていく予定である。 また並行して血中トリプトファン濃度やキヌレニン濃度の維持に貢献していると考えられる小腸や肝臓に変更を加え、血中および脳中KYNレベルにどのような影響を及ぼすのか検討していく。
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