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休眠状態からの覚醒を利用した食中毒菌・リステリアの新規分離法開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K05547
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分38050:食品科学関連
研究機関日本獣医生命科学大学

研究代表者

落合 由嗣  日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (40350178)

研究分担者 武藤 淳二  科学警察研究所, 法科学第一部, 主任研究官 (80432186)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワードリステリア / sublethal stress / コロニー多様性 / 損傷菌 / 低pH曝露 / 高温曝露 / ピルビン酸 / 覚醒 / 休眠 / 菌分離
研究開始時の研究の概要

食中毒原因菌のリステリアによる食品汚染が発生する原因の一つとして、食品加工施設で生存するものの既存の方法では分離されない菌の存在が見逃されていると考えられる。近年、多くの細菌種が生育に困難な状況下で培養困難な状態(休眠状態)になることで危機的状況を克服していることがわかってきた。本研究ではリステリアが食品加工施設で置かれることが想定されるストレス曝露などへの対応として難培養性を伴う休眠状態となるかを明らかにする。さらに、休眠状態のリステリアを覚醒させる培養条件を探索し、その覚醒誘導を利用した新規分離方法の開発によって食品加工施設で見逃されているリステリアを確実に検出できる技術の確立を目指す。

研究実績の概要

これまでの成果として、亜致死的(sublethal)条件へ曝露したリステリアを寒天培地上に接種したところ、曝露時間に依存して形成されるコロニーが小さくなる知見を見出した。さらに過酸化水素や高温に継続曝露した後に寒天培地上での発育性状を解析したところ、ピルビン酸を添加した寒天培地のみでコロニー形成が観察される知見を得てきた。以上から、発育・生残に不都合な環境に置かれたリステリアでは、その環境への曝露時間に依存して増殖性低下が起きていることが示された。今年度においては、sublethalな条件に置かれた後に寒天培地上に形成されるコロニーの大きさを詳細に解析した。
リステリアは食肉分離株を用いた。常法によって培養・洗浄した菌をsublethal条件に曝露した。曝露条件は、過酸化水素(0.2%)、高温(50℃、55℃)、低pH(HClで3.0に調整したもの)とした。曝露後に菌浮遊液を回収、適宜希釈して2種類の培地、すなわち酵母エキス添加トリプトソイ寒天培地(TSAYE)、およびピルビン酸添加TSAYE(TSAYE-PYR)に接種した。37℃で培養し、24および48時間後において形成されるコロニーの大きさを計測した。
sublethal条件に曝露後のリステリアが形成するコロニーは、曝露条件に関係なく小さくなることが確認された。今回の解析で着目したのはコロニーの大きさの多様性である。曝露初期においては小型化したコロニーの大きさに顕著な多様性は観察されなかったものの、長期間にわたる曝露によって大きさに著しい多様性が認められた。コロニーの大きさは増殖性の多様性、すなわち表現型の多様性を示唆しており、本菌が不都合な環境での生残する戦略として発揮されていることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

曝露解析において得られるコロニー数が著しく異なる成績が得られた。そのため、実験系において何らかの不備があることが懸念され、詳細な条件検討を繰り返すことに時間を要した。以上の理由から当初の計画よりも進行が遅れている。

今後の研究の推進方策

今後も亜致死的な条件に置かれたリステリアがより効果的にコロニーを形成できる培養条件(培養温度、栄養条件、好気・微好気・嫌気条件)継続して模索することを計画している。
また、同じ遺伝子型に分類される一方で、低pHに対する感受性が著しく異なる分離株を見出した。異なる感受性がどのようなメカニズムに起因するかを解明するため、次世代シーケンスによって全ゲノムの塩基配列を決定し、低pHなどのストレスへの応答に関わる因子の塩基配列を中心に変異があるかを検索する。変異が見出された部分の塩基配列に置換を入れることによって耐性に影響がみられるかを解析する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 特異的微生物種検出法としてのRPA法の有効性について2022

    • 著者名/発表者名
      大野貴代、中原弘明、藤浪良仁、武藤淳二
    • 雑誌名

      DNA多型

      巻: 30 ページ: 51-55

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 各種病原細菌からのポンピング法を用いたDNA精製法の評価2023

    • 著者名/発表者名
      藤浪良仁,中原弘明,武藤淳二,今村章
    • 学会等名
      日本法科学技術学会第29回学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ナノポアシーケンサーを用いた各種法科学的試料からの微生物配列の検出2022

    • 著者名/発表者名
      武藤淳二、堀田明豊、藤浪良仁、中原弘明
    • 学会等名
      日本法科学技術学会第28回学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 野兎病菌の長期継代によるゲノム変化2022

    • 著者名/発表者名
      堀田明豊、鈴木道雄、武藤(細川)淳二、奥谷晶子、藤田修、森川茂、花木賢一、宇田晶彦、前田健
    • 学会等名
      第165回日本獣医学会学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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