研究課題/領域番号 |
22K05551
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
酒井 祥太 国立感染症研究所, 細胞化学部, 主任研究官 (60611720)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 新型コロナ感染症 / 阻害剤 / 機能性食品 / 脂質 / 新型コロナウイルス / 食品成分 |
研究開始時の研究の概要 |
風邪などに対して予防効果が確認された素材に「COVID-19に対する予防効果がある」といったような、科学的根拠のない誤った健康情報が流されている。サプリメント等に用いられる成分の中には実際に抗ウイルス作用などを有する成分があることが報告されているが、COVID-19に対する科学的に裏打ちされた食品成分は皆無である。このような全く根拠のないミスリードした情報は、国民の誤認を招き、誤った対応を誘発してしまうことが危惧される。本研究ではCOVID-19予防効果を有する機能性食品成分を見出すとともに、得られた知見に基づき国民に対して真の情報を提供、発信するということを目標とする。
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研究実績の概要 |
世界的大流行となっている新型コロナウイルス感染症COVID-19に対して日常的な食生活から予防する、あるいはウイルスの増殖を抑制する効果を有する機能性食品成分を見出すことを目的とした。まずはじめに、分離されたSARS-CoV-2各変異株(起源株、α株、β株、δ株、ο株)のワーキングストックを作成し、それぞれのウイルス力価を測定した。作成したワーキングストックを用いて、細胞変性効果および細胞傷害性を誘導するウイルス力価、処理時間の条件検討を行い、スクリーニング条件を決定した。確立した条件下でSARS-CoV-2感染後の細胞傷害性阻害試験およびリアルタイムRT-PCR法によるウイルス定量を行い、様々な機能性食品成分処理による抗SARS-CoV-2効果を評価した。 市販品およびサンプル提供を受けた植物エキスライブラリーなど様々な成分について検討したところ、クルクミンおよびその代謝物にSARS-CoV-2ウイルス粒子を不活化する作用を見出した(同時期に論文報告された)。また、動物や植物など自然界に広く分布する特定の脂質が非常に強い抗SARS-CoV-2効果を示すことがわかった。候補脂質によるSARS-CoV-2感染阻害効果の作用メカニズムを解明するために、SARS-CoV-2の感染ライフサイクル(①宿主細胞の細胞表面に発現している受容体ACE2とウイルススパイクタンパクとの結合(ウイルス接着)②TMPRSS2によるスパイクタンパクの開裂と活性化にともなうウイルスゲノムの侵入 ③翻訳 ④複製 ⑤ウイルス粒子形成 ⑥放出)に着目し、どの過程を阻害するのかを検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、SARS-CoV-2感染による細胞傷害性を指標とした機能性食品成分のスクリーニングを行った。多くの候補成分を見出すことはできていないが、競合研究が増えてきている中で、(既報であった成分もあるが)まだ報告のない成分を同定できたことにより今後の進展が期待できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に見出した成分については、その作用メカニズムを詳細に検討する。また、スクリーニングに供する成分は非常に多くの候補があるため、引き続き抗SARS-CoV-2効果のある成分の探索を行っていく。異なる感染阻害メカニズムを示す様々な成分を見出し、それらを組み合わせることで、日常的な食生活からCOVID-19を予防できるような方法を探索していく。
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