研究課題/領域番号 |
22K05567
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38060:応用分子細胞生物学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
稲垣 英利 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (90344126)
|
研究分担者 |
宮下 正弘 京都大学, 農学研究科, 准教授 (80324664)
茂里 康 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (90357187)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | モリアオガエル / 泡巣構成ペプチド / OTLP / 泡巣 / ペプチド / イオンチャネル |
研究開始時の研究の概要 |
日本の固有種であるモリアオガエル(Zhangixalus arboreus)の泡巣構成成分として、我々はHylaserpin S2とよばれるアンナンツリーフロッグ(Hyla simplex)の皮膚から同定されたプロテアーゼ・インヒビターと相同性を示す4種類のペプチド(OTLP: Oviduct Toxin-Like Peptide 1, 2, 3, 4)を発見した。本研究では、OTLPが神経毒かプロテアーゼ・インヒビターかを、電気生理学的方法とプロテアーゼ・アッセイで検証する。同時に、ミールワームなどに投与し、 OTLPの選択的毒性とOTLPが泡巣に含まれることの生物学的意義を解明する。
|
研究実績の概要 |
今年度は、組換え技術及び化学合成でモリアオガエル泡巣の構成ペプチドOTLP(Oviduct Toxin-Like Peptide)の取得を試みた。モリアオガエル卵管RNAから4種類のOTLP cDNAをRT-PCRで単離し、大腸菌の発現ベクターpCold及びpGSTにサブクローニングして、OTLPペプチドの組換え体での発現を試みた。しかしながら、Cys残基の数が多いため正しい立体構造を形成することができず、機能的な発現には成功していない。酵母(Pichia pastoris)はCys残基の数が多いペプチドの発現にも多くの実績があるため、この発現ベクターpPICZにcDNAをサブクローニングして、培養液中に分泌させる形での組換え体の発現に取り組んでいる。 OTLP1については化学合成による取得も目指している。OTLP1は66残基の長さをもつため、逐次延長法による合成は難しい。そこで、ペプチドを半分程度に分割して合成し、それらを縮合して全長ペプチドを得ることとした。本手法による合成の結果、全長ペプチドの生成が確認できた。しかしながら、縮合位置付近で副反応が多く見られたことから、縮合位置の再検討が必要であることが分かった。 また、我々はOTLPの立体構造について、Cys残基の架橋様式の違うサソリ神経毒型とカエルプロテアーゼ・インヒビター型を当初、想定していた。どちらの立体構造が正しいかを検証するためにAlphaFold2を用いてOTLPの立体構造予測も行い、Cys残基の架橋様式についても検討している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、今年度中にOTLPペプチドを取得する予定であったが、組換え技術及び化学合成でモリアオガエル泡巣の構成ペプチドOTLP(Oviduct Toxin-Like Peptide)の取得が完了しておらず、生理活性の確認段階に進んでいない。全体的に計画に比べて本プロジェクトは遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
早急に、組換え技術及び化学合成でモリアオガエル泡巣の構成ペプチドOTLPの組換え体を取得し、この組換え体によりミルワームを用いた殺虫活性の確認を行った後、電気生理によるイオンチャネル阻害活性、プロテアーゼ阻害活性などを測定したいと考えている。
|