研究課題/領域番号 |
22K05578
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39010:遺伝育種科学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
松平 洋明 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 主任研究員 (90549247)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | テンサイ / 種子 / 胚数性 / 胚数 |
研究開始時の研究の概要 |
作物の多くは1個の種子から1個体が出芽する。一方、糖料作物であるテンサイの種子は元来、複数の種子が融合した特殊な形態(多胚性)を示す。多胚性は、複数個体をセットにして生存・繁殖するための適応形質の一つと考えられるが、作物の生産を行う際には生育の不均一性をもたらす不良形質である。個々の種子が独立した「単胚性」がテンサイ集団から発見されて以来、単胚性は世界のテンサイ産業を支えるに至っているが、高度な単胚性の育種選抜は容易でない。本研究では、申請者が保有する遺伝資源の中に含まれる多様な胚数を示す系統変異に着目し、次世代シーケンス技術等を活用して、種子の胚数多様性を支配する分子基盤を解明する。
|
研究実績の概要 |
令和4年度は,まず多胚性および単胚性の遺伝子発現プロファイルを明らかにするため,RNA-seq解析を進めた。多胚性と単胚性系統を交雑して育成したF3系統群から,多胚性および単胚性を示す各3個体のバルクをそれぞれ3セットずつ準備した。これらの花序先端(多胚性と単胚性の形態が分化する領域を含むと期待される)から全RNAを抽出し,RNA-seq解析を行った。現在得られたデータの分析を進めているが,多胚性で発現量が5倍以上多い転写産物が約70種,逆に単胚性で発現量が5倍以上多い転写産物が約100種得られている。多胚性で発現量の多い転写産物にはF-boxタンパク質遺伝子や細胞分裂に関わる遺伝子をコードすると想定されるものや,ncRNAと予想されるものが複数含まれていた。これらの内いくつかは多胚性遺伝子Mが座乗すると報告されている第4染色体に由来していた。 次に,単胚性種子の中に2 個の果実が融合した二胚種子が混在する二胚性について,遺伝解析の準備を進めた。二胚種子率の高い二胚性系統と単胚性系統のF2分離集団について採種用母根を養成した。収穫した母根をガラス温室に定植し,約60個体から自殖種子を採種するとともにゲノムDNAを取得した。採種した種子の分析を現在進めているが,採種前の花の着生状況から,二胚種子率がよく分離していると期待される。すでに採種およびDNA抽出が完了している70個体(二胚種子率が 0~66.5%で連続分布することを確認済み)と合わせて,今後解析を進める。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RNA-seq解析により,胚数の多様性に関わると期待される転写産物を得ることができた。また,二胚性の解析に必要なF2集団の調査とDNAの取得を完了できた。これらを用いて次年度以降の解析を進める事が可能である。
|
今後の研究の推進方策 |
RNA-seq解析については第4染色体に座乗する転写産物に注目して多胚性の発現との関連を調査する。二胚性の分離集団について,QTL-seqを行い候補ゲノム領域の特定を試みる。さらに,テンサイコアコレクションについて胚数性に関するGWAS解析を試みる。
|