研究課題/領域番号 |
22K05584
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39010:遺伝育種科学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
堀江 智明 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (90591181)
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研究分担者 |
石川 亮 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (70467687)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 耐塩性 / イネ / Cl蓄積 / Na蓄積 |
研究開始時の研究の概要 |
塩ストレスは、農作物の成長・生産性を著しく妨げる農業問題である。塩ストレス土壌での主要な毒性イオンはNa+とCl-であるが、植物がどのような遺伝子の働きでそれらの蓄積を統御し耐塩性を維持するのか、未だ全容は不明である。本研究では、栽培イネに耐塩性イネの短い染色体断片が置換・挿入された系統群を活用して、耐塩性により資するNa+とCl-の蓄積制御を実現する耐塩性イネ由来の鍵遺伝子座の発掘を試みる。
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研究実績の概要 |
R4年度に、耐塩性イネ在来種ノナボクラと塩感受性の栽培種コシヒカリの交雑系統(染色体断片置換系統群:CSSLs)を利用して、塩ストレス下(25-75 mM: 計9日間)においてClの地下部の蓄積が、ノナボクラ様に有意に高まる系統を発見していた(SL504系統)。この選抜系統の栄養成長期での、より詳細な部位別のClとNaの含量調査を実施した所、塩ストレス下においては、最新未熟葉や完全展開新葉で、有意にClとNa双方ともに高蓄積することが示された。 プレリミナリーな観察として、SL504系統を土耕栽培して、生殖成長期に長期の塩ストレス処理を施した所、コシヒカリよりも耐塩性が強い傾向を示されていた。そこで、R5年度は、再度SL504系統を土耕栽培して同様の試験を行った。SL504系統は、対照であるコシヒカリに比べて地上部の視覚的ダメージがより低減しており、穂の乾燥重量を指標とした比較においては、コシヒカリよりも重い傾向を示した。R6年夏には、試料の数を増やし、生殖成長期における収量を含んだ耐性評価のいくつかの指標を詳細に定量評価する予定である。 この系統に関しては、共同研究者との協力により、コシヒカリとの戻し交雑後代集団BC1F1を作製した。BC1F2系統の種子の採取が予定より遅れてしまったが、R6年秋にそれが達成され、早ければR6年末ころからの表現型解析に使用できる状態になる。これらの材料を用いて、栄養成長期、生殖成長期でのClやNa蓄積や収量などの重要な指標を解析し、これらの表現型をもたらす責任遺伝子の絞り込みを進めて行く。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R4年度に選抜した耐塩性イネ由来の染色体断片を持つCSSL系統が、生殖成長期の耐塩性に特に有効で、収量の向上を示す可能性があることを見出した。現時点で、この表現型に関して確たる再現実験を行う必要がある状況だが、ClとNaの蓄積に加えて、収量をも左右する責任遺伝子の追及に繋がるかもしれない。R6年秋にBC1F2の種子が採取できる見込みであり、更なる責任遺伝子のマッピングを有効に進めらる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
選抜したSL504系統では、Cl蓄積に加えて、もう一つの主要な毒性元素であるNaの蓄積も大きく乱れていることが示唆された。特に、地上部で両元素が塩ストレスにより高蓄積していた点は注目すべき特徴である。従って、栄養成長期のSL504系統やコシヒカリを用いて、それらの元素の蓄積と塩感受性との関連を詳細に調査する。また、生殖成長期におけるそれら元素の蓄積に関しては、現時点で明瞭ではなく、再実験により結論を導く必要があるため、その点に注目した実験を実施する。塩ストレス下の米収量へのポジティブな影響は魅力的であるので、この点に関しては、R6年夏、統計的に十分な量の試料を用いて詳しく解析する。 一方で、SL504系統とコシヒカリの戻し交雑後代の準備やそれらを使った解析が、当初の予定よりも遅れてしまった。BC1F2種子がR6年秋に取得できる見込みのため、根のCl蓄積の形質と連鎖するマーカーの設定を試みる。それに加えて、上述のような米収量への影響にも注目していくために、収量に関するのマーカーも独立して設定を試み、それらが同一の責任遺伝子によってもたらされている形質なのかに注意を払いながら、遺伝子マッピングを進める体制を整える。
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