研究課題/領域番号 |
22K05599
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39020:作物生産科学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
川満 芳信 琉球大学, 農学部, 教授 (20192552)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | スマート灌漑 / CAM型光合成 / ゴールドバレル / パインナップル / シンク/ソース比 / 蒸発散量 / PEPカルボキシラーゼ |
研究開始時の研究の概要 |
パインアップル品種のゴールドバレルは,糖度16.5度,酸度0.53%と従来品種に比べ高品質で,市場では高価で取引され,沖縄のパイン生産農家から救世主の到来と期待されている.しかし,急速な果実肥大に果柄部の成長が追いつかずに折曲・倒伏して日焼けによる腐敗が生じ果実品質は著しく低下し,出荷出来ない状況にある.農家は,圃場に金属支柱を張り巡らし,果実をロープで誘引し倒伏を防止しているが抜本的な解決には至っていない.そこで,本研究では耐倒伏性向上と超高級果実生産を達成するため「シンク/ソース比を指標にしたスマート栽培法」を開発し,高級果実収穫歩留まりを向上させるための栽培技術を提案し課題解決を目指す.
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研究実績の概要 |
パインアップル品種のゴールドバレルは,糖度16.5度,酸度0.53%と従来品種に比べ高品質で,市場では高価で取引され,沖縄のパイン生産農家から救世主の到来と期待されている.しかし,急速な果実肥大に果柄部の成長が追いつかずに折曲・倒伏して日焼けによる腐敗が生じ果実品質は著しく低下し,出荷出来ない状況にある.農家は,圃場に金属支柱を張り巡らし,果実をロープで誘引し倒伏を防止しているが抜本的な解決には至っていない.そこで,本研究では耐倒伏性向上と超高級果実生産を達成するため「シンク/ソース比を指標にしたスマート栽培法」を開発し,高級果実収穫歩留まりを向上させるための栽培技術を提案し課題解決を目指す. 具体的には,1)ゴールドバレルの初期生育を促進させ花芽分化処理前までに40枚以上の葉数確保のため,栄養分,水,O2,CO2を地中潅水システムを活用して施用する技術の開発,2)倒伏防止資材であるケイ酸カリ肥料を地中潅水システムを用いて施用する技術の開発,3)上記1,2によって得られた健全株と無処理(果柄部折曲)株の「シンク/ソース比」の比較表の作成,を実施して最適な「シンク/ソース比」を決定し,そのインデックスを生産農家に伝える.本年度は,ゴールドバレルの苗を水耕栽培し,ケイ酸肥料と窒素肥料を組み合わせた4処理区を設定して栽培し,ガス交換速度(光合成速度),葉のケイ酸含量,窒素含量を調査した. その結果,標準区に比較して,+Si区,2N+Si区のCO2収支量は上昇し,特にPhase-4における上昇が顕著であった.吸収された葉の窒素含量は処理区間で差異は無く,+Si区は両窒素処理区で上昇した. 植え付けは昨年5月に実施,花芽分化処理は12月に実施したため,収穫は次年度の6月を予定している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本申請研究では,特異的なCAM型ガス交換を行うパインアップルを対象にしたユニークなスマート栽培を開発し,得られた成果はパインアップル農家への普及を試みる予定である.しかし,パインアップルの様なCAM型植物のガス交換は日変化するため,連続した測定が求められる.また,CAM型ガス交換速度の日変化は前歴や環境条件によって大きく変動するため,厳密に環境制御されたチャンバー内で測定しなければならない.当初,LED光源を1台購入し計測をスタートさせたが,同化箱への光ムラが生じ,測定値に不安定な結果が生じた.そこで急遽2台目を購入し,安定的な計測が達成できた.
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今後の研究の推進方策 |
パインアップルは通常の路地栽培の場合,植え付けから収穫まで2年の期間を要する.本研究では,従来の平地に植え付ける方法(慣行区)を改め,スマート栽培区は,うね高30cm,うね幅100cmに黒マルチを張り,ドリップチューブを二条植えの中央の約20cm深に埋設する.マルチの効果として,雑草防除,土壌の過湿防止,O2とCO2の拡散防止にある.パインアップルの湾曲した葉はらせん状に配置され,葉数40枚程度の株を上から観察すると土壌は見えず,太陽の光と降雨を全ての葉で集める構造になっている.その結果,葉で集めた雨水は,全て根元に集められ,地下部へ供給される.従って,葉によって収集された雨水だけがマルチ内に供給され,他は排水されるため土壌水分の安定的な制御が可能となる.本研究で開発する地中潅水システムは,ポンプや電磁弁を自動的に稼働させる.潅水のタイミングとしては微気象観測装置に連結されているpFセンサーの値が2.8に達した段階でスタートさせる.また,TDRセンサーのEC値から土壌の栄養状態を,ドローンのNDVI値から葉の窒素濃度を推定し,ホーグランド水耕液とケイ酸カリ肥料をドリップチューブから供給する.定期的に土壌中のO2,CO2濃度を計測し,慣行区と比較する.
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