研究課題/領域番号 |
22K05600
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39020:作物生産科学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
上原 直子 琉球大学, 研究推進機構 共創拠点運営部門, ポスドク研究員 (90899197)
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研究分担者 |
諏訪 竜一 琉球大学, 農学部, 准教授 (30560536)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | イトバショウ / 工芸作物 / 繊維作物 / 繊維品質 / 炭素動態 / シンク・ソース / 栽培管理 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで科学的知見に基づく研究が着手されていなかった伝統工芸作物であるイトバショウについて,良質の繊維を採繊するための栽培管理方法の確立を目的とした調査を行う.偽茎の新鮮重および繊維率,更に繊維構成成分の調査により,施肥量や追肥効果の検証を行う.また,収穫部位である偽茎が光合成産物の一次貯蔵器官であることから,光合成産物の転流・貯蔵および再転流に着目し,偽茎の炭水化物の増減を定量化することで,栽培管理として慣習的に行われている「葉打ち(葉切除)」・「芯止め(最上位展開葉の切除)」の科学的根拠を明確化するとともに,作業の有効性・作業時期および回数を決定し,質の良い繊維をとるための知見を得る.
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研究実績の概要 |
1.芭蕉布品質となる質の良い繊維収率を増加させるための施肥体系 施肥区は施肥を行わない無施肥区,春施肥として1株あたり窒素・リン・カリウムを各20g行う20区,年間の施肥量は1株あたり窒素・リン・カリウム20gだが,春と秋に10gずつ施用した10-10区,および春と秋に20gずつ施用した20-20区の4処理区を設けた.春施肥を2022年4月23日,秋施肥を9月30日に行い,慣行農法に従い,葉を切除する「葉打ち」処理を6月23日と8月15日に行った.生育調査は6月23日,8月15日,9月30日,11月15日に行い,偽茎径と出葉数を計測した.その結果,偽茎径は無処理区,20区,10-10区,20-20区の順で,8.1±0.2,8.2±0.2,8.4±0.4,8.8±0.2cmであった.また出葉数も無処理区,20区,10-10区,20-20区の順で3.1±0.3,3.3±0.3,3.8±0.5,4.1±0.5枚となり,偽茎径および出葉数ともに施肥量が多いと偽茎径は大きい傾向にあり,追肥としての秋施肥が効果的であることが分かった.
2.「葉打ち」「芯止め」の有用性の検証と作業時期および回数の最適化 施肥は1株あたり窒素・リン・カリウムを春と秋に10gずつ施用した.ソース器官としての葉身・シンク器官としての偽茎,およびソース器官としての偽茎・シンク器官としての葉身が偽茎内の炭素含有量に及ぼす影響を調査するために,葉打ちを行わない無処理区と葉打ちを1回行う葉打ち区を設けた.8月9日に葉打ち前のサンプリングを行い,8月10日に葉打ちを行った.葉打ちから約2か月後の10月6日に偽茎内の炭水化物を測定するためのサンプリングを行った.葉打ち処理は偽茎径には影響は生じなかったが,出葉数は無処理区で葉打ち後6.9±0.5枚だったのに対し,葉打ち区は4.2±0.4枚であり,出葉数に大きく影響した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
秋施肥および葉打ち後のサンプリングまでは概ね順調だったが,その後,研究代表である私が家庭の事情(介護)により出勤・研究可能な時間の減少により,冬季の採繊・サンプリングを行うことができなかった.また,サンプリングした偽茎の炭水化物含量測定のための試料の前処理および測定ができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
1.芭蕉布品質となる質の良い繊維収率を増加させるための施肥体系 本年度採繊が行えなかったため,次年度冬季に採繊を行う.採繊した繊維を用いて,繊維の成分分析および物性評価を行う.
2.「葉打ち」「芯止め」の有用性の検証と作業時期および回数の最適化 本年度にサンプリングを行った偽茎の炭水化物含有量の測定を行い,葉打ちによって,偽茎がシンク器官からソース器官になったこと,またそのことに伴い構造性炭水化物含量へ及ぼす影響について解析を進める. さらに,13C付与することにより炭水化物転流・再転流の動態を明らかにするための実験を,台風の影響や,株の成熟にともなう開花によってシンク・ソース器官が変転することの影響を避けるために,栽培圃場より吸芽を採取してポット栽培を行い供試株とすることで,研究遂行上の支障になりそうな環境要因を排除する.
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