研究課題/領域番号 |
22K05602
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39020:作物生産科学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
松浦 朝奈 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (30299672)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 耐湿性 / 雑穀 / ソバ / 成長速度 / 根 / 形態 / 成長 / 生理生態 / 低酸素耐性 / 破生通気組織 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,耐湿性の大きく異なる植物材料を用いて,根端における酸素の利用,通気組織の形成にかかわるプログラム細胞死の制御機構と植物ホルモンのエチレンの関与を明らかにする.さらに,エチレンの投与により根に通気組織を発達させ,低酸素耐性の増強に挑む.
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研究実績の概要 |
通気組織が形成される雑穀にエチレン生成阻害剤を処理し,通気組織が形成されにくい雑穀にエチレン生成促進剤を投与してそれぞれの通気組織の形成を調べた.低酸素耐性の強いテフは,酸素の有無にかかわらず根端2cmから通気組織が観察され,エチレン生成阻害剤を投与しても変化しなかった.低酸素耐性の強いヒエでは酸素があっても根端2cmから通気組織が観察され,その割合は低酸素下で増加した.エチレン生成阻害剤によって根端から4cmと6cmの通気組織の形成は,低酸素区より減少した.低酸素耐性の弱いコルネでは,低酸素処理によって通気組織の割合は増加せず,エチレン生成促進剤の投与によって通気組織の割合は増加する傾向がみられたが,低酸素区との有意差は認められなかった.低酸素耐性の弱いアワでも,低酸素処理によって通気組織の割合は変化しなかった.エチレン生成促進剤の投与によって通気組織の割合は増加する傾向を示し,根端から4cm~8cmでは低酸素区に比べて有意に増加した.TTC反応の結果から,テフでは処理による差は見られず,ヒエではエチレン生成阻害剤の投与によって呈色反応が弱まった.コルネとアワでは,低酸素処理によって呈色反応が弱まり,エチレン生成促進剤の投与によって呈色が強くなった.以上のことから,テフでは誘導性通気組織よりも恒常性通気組織の発達が重要であり,ヒエ,コルネ,アワでは誘導性通気組織の発達にエチレンの関与が示唆され,通気組織は酸素の獲得に大きく関与すると考えられた. 普通ソバ3品種、韃靼そば1品種、宿根ソバ1品種、宿根ソバとダッタンソバの雑種2系統を用いてソバの耐湿性を調べた。低酸素処理によって、ソバの個体成長速度は対照区の11%~33%と著しく低下し、品種間差異は認められなかった。不定根には,通気組織の形成が見られず,内皮にはスベリンの蓄積が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エチレンの阻害剤と溶媒に対する毒性試験および最適濃度については,再確認する予定であるが,おおむねエチレンの関与に対する結果が得られ,通気組織と酸素の利用との関係などが論理的に説明できている.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は,恒常性通気組織にオーキシンが関与しているかどうかを生合成や伝達阻害剤を用いて明らかにする.研究の推進策としては,耐湿性の品種間差異が大きく異なる品種を用いて,種間差異と品種間差異を同時に明らかにすることに挑戦する.さらに,現在よく使われているオーキシン阻害剤は特異性に欠けるものが多いため,先行研究を精査して特異性が明らかになっている阻害剤を用いることとする.これらを実施することで再現性のある独創性に富む研究が推進できるものと期待される.
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