研究課題/領域番号 |
22K05604
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39020:作物生産科学関連
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研究機関 | 新潟薬科大学 |
研究代表者 |
大坪 研一 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 特任教授 (80353960)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 米 / 高温障害 / 米飯物性 / 硬水 / カルシウム / 玄米 / 完全粒 / 乳白粒 / 糊化特性 / 物性値 / α-アミラーゼ活性 / プロテアーゼ活性 / 理化学特性 / 食味 / 外観品質 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、稲の高温登熟障害の機構及び障害米の特性を解明することである。まず、 申請者らの保有する米品質関連プライマーを中心に、高温耐性の品種間及び品種内の差異を検出し、障害関連形質を推定する。一方で、食味試験と理化学特性測定でも品種間と品種内の相違を検出する。両方の結果を照合し、障害発生機構の解明と障害による米の品質特性の変化の定量化を図る。米の主成分である澱粉の合成・分解関連の変化について、分光分析、糊化特性試験及び酵素活性測定によって解析し、タンパク質についても解析し、酸化還元性や生体防御システムの影響や微量成分の変化についても検討し、高温障害程度の総合的な評価式を開発する。
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研究実績の概要 |
気候の温暖化により、白未熟粒の発生が増加し、外観および品質の低下等の高温登熟障害が頻発している。本研究では、2020年産ブランド品種の玄米54種類における高温障害米の食味に影響を及ぼす内在性デンプン分解酵素活性とデンプン特性および理化学特性値(糊化特性)との関連を解明し、乳白粒の品質改善方法を開発することを目的とした。試料米を完全粒と乳白粒に分別して測定を行い、各品種の高温障害乳白粒の糊化特性値及びα-アミラーゼ活性の差異を分析し、玄米(完全粒と乳白粒の混合)のRVA糊化特性値による高温障害程度の評価式開発を目的に、品種ごとのα-アミラーゼ活性の乳白粒と完全粒の比率を目的変数とする推定式を作成し、未知試料による検定を行い、高温障害米の障害程度を簡易に推定する方法を開発した。また、完全粒と乳白粒30%混合米の相違について、物性値、遊離糖含量、L-グルタミン酸含量、α-アミラーゼ活性、プロテナーゼ活性等を比較し、各品種の高温障害粒の特性を評価した。乳白粒のアミロース含量は、完全粒に比べて低下傾向を示し、α-アミラーゼ活性は、乳白粒が完全粒に比べ、有意な増加傾向を示した。各種の糊化特性値は、乳白粒が完全粒に比べて低下傾向を示し、プロテアーゼ活性も乳白粒が完全粒に比べて高くなる傾向が示された。さらに、30%乳白粒混合米のL-グルタミン酸含量、L-アミノ酸含量、オリゴ糖含量も100%完全粒に比べて増加傾向を示した。炊飯米の物性値においては、30%混合米が100%完全粒に比べ、「硬さ」、「こし」、「粘り」、「付着」が低下傾向を示すことを明らかにした。乳白粒の炊飯品質を改善するために、高カルシウムの硬水を試用して炊飯・加工する技術を開発し、「硬さ」、「粘り」等の米飯物性が向上し、米飯中のカルシウム含量も増加することを明らかにし、学会発表および論文投稿を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、新型コロナの問題が残っており、学生の感染防止の観点から時差登校を行った。そのため、研究における実験の進捗が予定より遅れてしまったが、高温登熟米におけるプロテアーゼやキシラナーゼの活性化を見出し、硬水使用による炊飯性改善技術を開発したことで研究全体としてはおおむね順調に進展したものと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、稲の高温登熟障害の機構及び障害米の特性に関する多面的解析を行うことを目的とし、これまでに、高温障害米では、澱粉分解酵素活性のみならず、プロテアーゼや細胞壁分解酵素等の各種の内在性酵素活性が増加し、それにともなって米粉の糊化粘度特性や米飯物性が低下することを明らかにしてきた。また、高温障害米の利用特性を改善するために、高カルシウムの硬水を利用する方法を考案し、米飯物性の改善及び米飯中のカルシウム含量増加を報告してきた。今後は、炊飯に加えて、製麺等の加工においても硬水が有効かどうか試験を行う。また、硬水炊飯による米飯の外観低下(黄色度の増加)を抑制する方法についても検討する。さらに、硬水が米飯品質向上などに有効である機構の解明にも取り組むこととする。
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