研究課題/領域番号 |
22K05608
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39020:作物生産科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター |
研究代表者 |
井関 洸太朗 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生物資源・利用領域, 主任研究員 (80748426)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 花性 / 雌雄異株 / 収量制御 / 塊茎 / ホワイトギニアヤム |
研究開始時の研究の概要 |
花性とイモ収量の関係性を解明し、人為的な花性制御によるイモ収量コントロールの可能性を検討する。このためにまず、性表現型および性遺伝子型が農業形質へ及ぼす影響を明らかにする。2つの交雑集団について、気象条件が異なる6年間の栽培データセットを構築し、収量やその構成要素と性表現型、遺伝子型の関係を解析する。また、気象条件を主とする環境要因が花性と農業形質の関係に影響していると仮定し、栽培期間中の気象データの解析から両者の関係に影響する環境要因を明らかにする。
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研究実績の概要 |
ヤム花性表現型とイモ収量の関係を明らかにするため、交雑集団2集団および遺伝資源系統群からなる計460系統について過去に取得した評価データの解析を行った。この結果、イモ収量は花表現型と開花日の影響を強く受け、同じ開花日で比較すると開花初期においては雌表現型のイモ収量が雄表現型よりも高いことを明らかにした。しかし、開花日が遅いほどイモ収量は低下し、その低下度合いは雄表現型よりも雌表現型で大きかった。このため、開花日が遅い個体で比較すると、雄表現型と雌表現型の間のイモ収量の違いがなくなることが分かった。この結果より、同じ品種・系統であっても開花の早い雌表現型の個体を栽培に用いることによってイモ収量の改善が見込める可能性を示した。 次に、花性表現型と開花日に影響を及ぼす植物側の要因として、種イモの部位に着目した実験を行った。花表現型が雄株、雌株、両性株の3種類に分かれる雌遺伝子型の系統を対象に、イモの頭頂部、中央部、下部からそれぞれに種イモを作成し、各個体における萌芽日、開花日、花性表現型を調査した。その結果、イモ頭頂部および中央部に由来する個体は下部に由来する個体と比較して萌芽や開花が早いうえ、雌表現型になりやすいことが分かった。 また、花性表現型に影響を及ぼす環境要因を明らかにするため、上記の交雑集団および遺伝資源集団について圃場栽培を実施した。3集団、各3個体からなる計1,380個体のそれぞれについて、萌芽性、花表現型、フェノロジー(開花日、枯れ上がり、収穫)、収量形質(イモ数、イモサイズ)を評価した。花表現型については、個体ごとに雄、雌、雌雄同株を調査し、雌雄同株個体については同性花の有無も記録した。今後、同様の調査を3年継続し、過去のデータと合わせて気象要因の解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた1年目の試験栽培および形質評価データの取得は問題なく完了した。この他、花性表現型の決定に関わる要因解明について当初予定していた環境要因だけでなく、植物側の要因を明らかにするための試験を実施し、種イモの部位が開花や花性に関係することを示した。さらに、過去の試験データ解析から、一定の開花条件の下で雌表現型個体のイモ収量が雄表現型よりも高くなることを明らかにし、論文を公表した。植物側の要因解明や花性表現型とイモ収量の関係を初年度の段階で明らかにした点は当初の計画を上回る成果である。一方、初年度に完了を予定していたヤム交雑集団の性遺伝子型の決定については、2つある集団のうち1集団のみが完了し、残りは次年度へ持ち越しとなった。一部に未完了の作業があるものの、予定以上の成果もあるため、全体としてはおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
花性表現型に影響を及ぼす環境要因を明らかにするための栽培試験を実施し、データ収集を継続する。また、花性遺伝子型の決定が未了の交雑集団についても次年度中にサンプリングおよび性決定DNAマーカーによる判別を完了する。種イモ部位と開花日および性表現型の関係を明らかにするための試験については、材料を増やした実験を行い、結果の確認を行う。今後、新たに取得する形質評価データセットに、既に同じ項目について取得済データを加えた計8,280データ(1,380個体×6年)を解析に使用し、花性データ(遺伝子型、表現型)、収量関連データ、気象データの計11因子の関連について、ベイジアンネットワークモデルを使った要因解析を行う。
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