研究課題/領域番号 |
22K05614
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
河井 崇 岡山大学, 環境生命科学学域, 助教 (90721134)
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研究分担者 |
福田 文夫 岡山大学, 環境生命科学学域, 准教授 (60294443)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 軟化特性 / 果実発育 / 非破壊評価 / M遺伝子座 / PG遺伝子 / 着果位置 / 果実品質 / 三次元点群データ / 音響振動法 / 遺伝子発現 / 植物ホルモン |
研究開始時の研究の概要 |
モモは収穫が短期間に集中し、収穫後の長期貯蔵も困難であるため、肉質・成熟期の多様性の確保ならびにその制御機構の解明は栽培・育種の両面で重要な課題である。本研究では、多様な肉質・成熟期を示す品種を用いて、果肉特性の非破壊評価、組織学的・生理学的解析、次世代シークエンサーを用いた網羅的解析を組み合わせることで、特に「樹上での果実成熟」に着目してその遺伝的・生理的な制御機構を明らかにする。モモの肉質・成熟期の多様性を樹上での成熟過程にさかのぼって評価した例はほとんど報告されておらず、本研究により得られる成果は、モモの果実成熟の人為的な制御や、多様な肉質・成熟期をもつ新品種の育成に繋がると期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では,多様な肉質・成熟期を示すモモ品種や交雑後代を用いて,果肉特性の非破壊評価,組織学的・生理学的解析,次世代シークエンサーを用いた網羅的解析を組み合わせることで,特に「樹上での果実成熟」に着目してその遺伝的・生理的な制御機構を明らかにする.本年度は以下の内容を実施した. 1.肉質・成熟期が異なる6品種(‘清水白桃’,‘桃水’,‘大寿蜜桃’,‘さくら’,‘おどろき’,‘もちづき’)を供試し,果実発育期間中の硬度および音響プロファイルの変化を継時的に調査した.いずれの品種も果実肥大に伴い硬度が低下したが,硬肉や不溶質品種は収穫期前から硬度の低下が緩慢になることが明らかになった.また,音響測定により硬核期以降の硬度変化を非破壊で推定できる可能性が示唆された. 2.肉質・成熟期が分離する‘清水白桃’ב冬桃がたり’F1後代を供試し,モモの果肉質の制御に関わるM遺伝子座に着目して果実軟化特性やPG遺伝子の発現量を比較した.Mハプロタイプの構成,PG遺伝子の種類,コピー数,発現量,軟化特性には対応関係がみられ,M遺伝子におけるPG遺伝子の発現差異がモモの軟化特性の決定に重要な役割を果たしていると考えられた. 3.モモの着果位置と果実品質・果実成熟の関係性を明らかにするため,測量により取得した樹体の三次元点群データ,果実の位置情報および果実品質の情報を統合することで,着果位置と果実品質の関係を視覚的に確認できる3Dモデルを構築した.また,果実の位置座標と果実品質の相関解析を行ったところ,果実の「高さ」が品質や成熟と密接に関連することが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は当初計画のとおり,肉質・成熟期が異なるモモ品種を用いて樹上における軟化様相を比較するとともに,音響測定による非破壊評価の可能性について検討できた.また,F1後代における果実軟化特性の比較については当初計画より先行して実験を進めることができた.さらに,当初計画に追加する形で実施した「三次元点群データを用いた着果位置と果実品質の関係の3Dモデル構築」についても一定の成果を得ることができた.これらの理由から,当初の計画以上に進展していると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は品種や後代を拡大して品種間差・年次変動を確認するとともに,果肉細胞の顕微鏡観察などの組織学的解析を進める.また,果実発育に伴う核内倍化の調査や,F1後代における果実軟化特性のGWAS解析などについても検討していく予定である.
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