研究課題/領域番号 |
22K05620
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
神崎 真哉 近畿大学, 農学部, 教授 (20330243)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | FT遺伝子 / 花芽形成 / 開花制御 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、マンゴーの夏季開花の仕組みを解明することにより、開花期調整や生産安定化のために有用な知見を得ることを目的とする。国産マンゴーの主要品種である‘Irwin’は花成誘導に低温遭遇が必要であるため通常は夏季開花しないが、一部の品種では低温遭遇せずに花成が誘導される。低温遭遇時には葉で産出されるフロリゲン(FTタンパク)が花成のスイッチとなるが、夏季開花時にはFTを介さずに花成が誘導されると考えられている。本研究では夏季開花を制御する遺伝子やその仕組みを明らかにしていく。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、マンゴーの夏季開花の仕組みを解明することにより、常緑果樹における低温を必要としない花成制御機構を明らかにし、開花期の調整や生産の安定化のために有用な知見を得ることである。残念ながら、これまでに再現性の高い夏季開花誘導条件を見出すことができておらず、夏季開花の制御機構の解明には至っていない。本年度は方針を変更し、マンゴーの花成誘導遺伝子であるMiFTの発現制御に関して、CONSTANS遺伝子がMiFTの制御因子として機能する可能性を検討した。マンゴーにおけるCONSTANS遺伝子のオーソログであるMiCOについて、日長や気温の異なる環境で栽培した‘Irwin’の葉における発現量の日変動を調査したところ、MiCOがMiFTを抑制的に制御している可能性があることが示された。 一方、花芽誘起を制御する因子に関する知見を得るために,花成誘導期から開花期にかけて頂芽における花芽形成関連遺伝子の発現変動の調査を行うとともに、栄養成長時との発現変動の違いについても解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
MiCO遺伝子は概日リズムにより発現量が変動することが報告されているが、日長および気温条件の異なる樹でその発現パターンを調査したところ、日長による影響は確認されなかったが、気温により発現量が変化することが明らかとなった。具体的には、低温に一定期間遭遇することでMiFTの発現量が増加した樹ではMiCOの発現量は減少していた。これは、MiCOがMiFTの発現を抑制的に制御することを示唆しており、既報(Liu et al., 2020)とは異なる結果となった。この点については引き続き検討していく。 一方、頂芽における遺伝子発現解析から、シロイヌナズナと同様にマンゴーにおいてもMiAP1やMiLFYが花芽誘起に促進的に作用し、MiTFLは抑制的に作用することが示された。また、MiSVP1およびMiSVP2は萌芽時期の制御に関わることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
夏季開花、すなわち低温を必要としない花成を安定的に誘導することが困難であるため、研究方針を変更し、低温による花成誘導時にMiFTの発現を制御する要因について解析を進めることとする。近年、MiFTの発現制御メカニズムに関する論文が発表されているが、我々の知見との相違点もあることから、花成誘導および非誘導条件下における遺伝子発現解析を通じてMiFTの発現を制御する要因を絞り込む。MiCOなど既に報告のある遺伝子に加え、MiFM1についても調査する。MiFM1は、これまでの研究でMiFTと発現パターンがほぼ一致する遺伝子として単離された転写因子であり、MiFTの発現制御に関わる事が示唆されている。これらの遺伝子について花成誘導条件と、ジベレリン処理や高着果負担等によって花成を抑制した非誘導条件とで比較しながら発現解析を行うとともに、MiFTのプロモーター領域の解析を行うことでこれらの遺伝子がMiFTの発現制御に関与する可能性を検討する。 同時に、花成誘導条件および非誘導条件における頂芽について凍結切片を作成し、顕微鏡観察により発育過程と遺伝子発現との関係を解析する。
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