研究課題/領域番号 |
22K05631
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
原田 太郎 岡山大学, 教育学域, 准教授 (80468256)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | カーネーション / 花弁形成 / AP2遺伝子 / ゲノム編集 / 花弁形態形成 / AP2 |
研究開始時の研究の概要 |
主要花き品目の1つであるカーネーションを用いて,花弁形成に中心的な役割を果たす転写因子であるAPETALA2(AP2)に着目し,(1) ゲノムデータベースを用いたAP2遺伝子ファミリーの構造解析,(2) in situ ハイブリダイゼーションによる組織発現解析,(3) ゲノム編集による機能解析を行う.これらにより,カーネーションにおける花弁形成の分子基盤を花器官アイデンティティの決定機構の観点から解明する.得られた成果は,新たな花型をもつカーネーションの作出や,花の形態形成過程および収穫後生理過程に関与する遺伝子の機能解析のプラットフォームとしての応用が期待される.
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研究実績の概要 |
本研究は,主要花き品目の1つであるカーネーションを用いて,花弁形成に中心的な役割を果たす転写因子であるAPETALA2(AP2)に着目し,(1)ゲノムデータベースを用いたAP2遺伝子ファミリーの構造解析,(2)in situハイブリダイゼーションによる組織発現解析,(3)ゲノム編集による機能解析を行うことで,カーネーションにおける花弁形成の分子基盤を花器官アイデンティティの決定機構の観点から解明することを目的としている.得られた成果は,新たな花型をもつカーネーションの作出や,花の形態形成過程および収穫後生理過程に関与する遺伝子の機能解析のプラットフォームとしての応用が期待される. 令和5年度は,花弁形成に重要な役割を果たすことが推察される3個のeuAP2遺伝子のうち,部分配列しか得られていなかった2個(DcAP2-1およびDcAP2-3)の全長cDNA配列を単離,決定した.そのうち,シロイヌナズナのAPETALA2のオルソログの可能性があり,花弁形成への関与が推察されるDcAP2-1の花芽発達過程における発現部位をin situハイブリダイゼーション法を用いて調査した結果,がく片および花弁(第1および第2環域)に加え,発達中の花芽でもその発現が認められ,この遺伝子が花器官のアイデンティティ決定に加え,花芽形成にも関与している可能性が示唆された.また,カーネーションのゲノム編集系の構築に向け,八重品種‘ウエストダイヤモンド’を用いた組織培養を試み,葉片を外植体とした場合にカルス誘導を確認できた.さらに,化膿性レンサ球菌由来Cas9遺伝子(SpCas9)が組み込まれたバイナリーベクター(pHAtC)をバックボーンとして,DcAP2-1および八重花形成への関与が示唆されるDcAP2-2をCRISPR-Cas9によりノックアウトするためのコンストラクトを作製した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度は,(1)カーネーションAP2遺伝子ファミリーの発現プロファイルの獲得,(2)CRISPR-Cas9によるカーネーションのゲノム編集実験系の構築,および(3)花弁形成におけるカーネーションAP2遺伝子の機能の実証を進める計画としていた.(1)については,おおむね計画通り進めることができ,その結果,花弁形成への関与が予想される2つの遺伝子の全長cDNA配列を新たに決定し,DcAP2-1については花芽発達過程での発現も確認することができた.今後,DcAP2-3についても花芽発達過程での発現解析を行う予定である.(2)については,DcAP2-1およびDcAP2-2をターゲットとしたCRISPR-Cas9用コンストラクトの構築に成功した.一方,組織培養については,アグロバクテリウム法による茎頂からの形質転換カルスの誘導(方法1)を試みたがうまくいかなかったため,葉片から誘導したカルスにアグロバクテリウムを感染させる手法(方法2)に切り替えた結果,カルス誘導までは確認できたが,形質転換を試みるには至っておらず,(3)については着手できていない状況である.
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は,(2)CRISPR-Cas9によるカーネーションのゲノム編集実験系の構築,および(3)花弁形成におけるカーネーションAP2遺伝子の機能の実証を計画している.(2)については,現在カルスの培養を続けており,十分量のカルスが得られた後,まずレポーター遺伝子(GUS)を利用してアグロバクテリウム法による形質転換の成否の確認を行う.次に,CRISPR-Cas9用ベクターの導入を試み,再分化個体が得られたら,ターゲット遺伝子に期待した変異が生じているかどうかを確認する.(3)については,得られたゲノム編集個体を花が形成されるまで培養し,その形態にどのような変化が生じているかを解析する(DcAP2-1の変異により無花弁の花が,DcAP2-2の変異により一重の花がそれぞれ得られることが期待される).また,本研究課題の最終年度であることから,DcAP2-3の花芽発達過程での発現解析についても行い,3個のeuAP2遺伝子の間での発現プロファイルの比較も行う予定である.
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