研究課題/領域番号 |
22K05638
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
竹内 真里 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 西日本農業研究センター, 研究員 (60884997)
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研究分担者 |
植山 秀紀 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 西日本農業研究センター, 上級研究員 (50370630)
黒瀬 義孝 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 西日本農業研究センター, チーム長 (80355651)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 土壌水分 / 乾燥ストレス / カンキツ / 水分特性曲線 / 蒸発散 |
研究開始時の研究の概要 |
植物の生育に影響する環境要因の中でも、乾燥状態における土壌pF値を正確に把握することは困難で、植物の反応に関しても不明な点が多い。本研究では、カンキツを対象に樹体の乾燥ストレスと土壌水分との関係を明らかにすること、および、低水分領域における土壌水分、特に土壌pF値の推定手法を開発することを目的とし、気象データを扱ったアプローチを行う。降水量等の気象要素から土壌水分(体積含水率、pF値)を推定し、植物が示す乾燥ストレスを土壌水分によりモデル化することを目指す。この研究の発展により、植物の乾燥ストレスをSPACモデルで評価し、気象予報を利用した効率的な灌水管理が可能になる。
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研究実績の概要 |
本研究では土壌pF値の推定手法を開発することを目的としており、この手法は気象要素から土壌の体積含水率を推定し、体積含水率とpF値の関係を示す一定の土壌水分特性曲線を利用してpF値の推定をするという手順を想定している。土壌水分特性曲線の簡易な作成法を検討するために、圃場に設置したセンサーの計測値を用いて土壌水分特性曲線を作成した。ヒステリシス効果の影響を除去するために、灌水を停止した7月以降、かつ、無降水期間(降水直後から再び雨が降るまで)の排水過程のみに着目したところ、時期によって曲線の形状がばらついた。曲線の傾きについてのばらつきは気象条件に起因すると考え、体積含水率とpF値の計測値を土壌水分特性曲線のモデル式に当てはめてパラメータを決定したところ、曲線の傾きに関わるパラメータと、FAO-56法に基づき気象データから算出した1日当たりの基準蒸発散量との間に相関がみられた。 植物が示す乾燥ストレスを土壌水分によりモデル化するために、複数のウンシュウミカン圃場において、露地区、マルチ区、シールディング・マルチ(S.マルチ)区を設置し栽培試験を行った。これにより土壌水分が異なる環境におけるウンシュウミカン樹体の乾燥ストレスに関する生理反応を観測することができた。灌水を停止した7月以降、露地区に比べS.マルチ区で降水の影響が小さく抑えられたために土壌水分が低い状態が維持され、葉内最大水ポテンシャルが有意に低く、果実糖度が高く推移した(乾燥ストレスがかかっていた)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、複数の圃場で土壌水分と樹体の乾燥ストレスに関する実測データを取得し、土壌pF値の推定に関する解析を進めている。乾燥ストレスを土壌水分や気象要素と関連付けてモデル化する解析作業には取り組めていないが、解析に必要なデータ数の蓄積は十分なため、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き圃場試験を実施し、長期間のデータを蓄積する。先延ばしにしている乾燥ストレスの解析について、特に樹液流速度に関して気象、土壌水分との関係を明らかにする。また現地実測データから作成する土壌水分特性曲線について、曲線の傾き以外のパラメータに関しても気象要素との関係を探り、気象データから曲線を補正して土壌pF値推定に活用する方法を検討する予定である。
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