研究課題/領域番号 |
22K05644
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39040:植物保護科学関連
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
清水 武史 弘前大学, 医学研究科, 助教 (90374818)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 黒星病 / リンゴ / ORNi-PCR / 一塩基変異 / CYP51A1 |
研究開始時の研究の概要 |
青森県の基幹産業であるリンゴ栽培に甚大な被害をもたらすリンゴ黒星病は近年多発傾向にあり、要因の一つとしてCYP51A1遺伝子の変異による防除剤(ステロール脱メチル化阻害剤)耐性菌の出現があげられる。防除に先立ち、黒星病菌のCYP51A1遺伝子が変異をもつかどうかを判別する必要があるが、従来法は判別に数ヶ月を要するためその間に黒星病が更に蔓延する危険性が高い。本研究は、研究代表者の所属講座で開発した、遺伝子変異を迅速・簡便・安価に判別できるORNi-PCR法を用いて、黒星病菌のCYP51A1遺伝子変異を約2時間で判別する技術を確立する。本研究はリンゴ黒星病の早期防除の実施に繋がり意義が大きい。
|
研究実績の概要 |
リンゴ黒星病は青森県の基幹産業であるリンゴ栽培に甚大な被害をもたらし、近年多発傾向にある。防除剤として、黒星病菌のCYP51A1遺伝子がコードする蛋白質が持つ脱メチル化活性の阻害剤(DMI剤)が用いられるが、同遺伝子の一塩基変異により複数のDMI剤耐性変異株が出現する。よって、防除剤散布に先立ち変異株の有無や変異塩基の特定が必要だが、現行の手法はこれらの判別に一~数ヶ月を要するため、より迅速な手法が求められている。 研究代表者らは、Oligoribonucleotide (ORN) interference-PCR(ORNi-PCR)法が様々な遺伝子の一塩基変異を迅速・簡便に特定できることを示してきた。本研究は、黒星病の早期防除法の開発に向けて、ORNi-PCRによるCYP51A1遺伝子の一塩基変異検出法を確立し、約2時間で変異株を特定できるシステムの構築を目的とする。 CYP51A1遺伝子は、DMI剤耐性を示す4種類の一塩基変異によるアミノ酸配列の変異型(Y133F、M141I、E206Q、G427R)を生じる。2022(令和4)年度は、野生型および各変異型を判別するORNi-PCR反応条件を検討した。その結果、野生型CYP51A1遺伝子の増幅をORNによって抑制し、各変異型のみ特異的に増幅するORNi-PCR反応条件を決定した。これにより、ORNi-PCR法によるCYP51A1遺伝子型の判別が可能となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書記載の研究計画に沿って、CYP51A1遺伝子変異を検出するORNi-PCR法の反応条件を決定できた。本年度は、培養した野生型および変異型黒星病菌からDNAを精製し、ORNi-PCRの鋳型とした。現在、リンゴ樹木よりサンプリングした黒星病罹病葉の病斑から直接DNAを抽出し、これを鋳型として同様の実験を試みている。
|
今後の研究の推進方策 |
実際のリンゴ黒星病は、外見上一つの病斑でもシングルコロニーとは限らず、複数種の黒星病菌が混在している場合も多い。例えば、野生型とY133F型の混在、Y133F型とM141I型の混在などである。そこで、黒星病罹病葉の病斑より抽出したDNAを鋳型として、ORNi-PCR法を用いてこうした複数種の黒星病菌の存在を特定し、CYP51A1遺伝子型を判別できるか検討する。 また、より迅速にCYP51A1遺伝子型を判別するため、黒星病菌胞子そのままORNi-PCR反応液に添加して、CYP51A1遺伝子の変異型をORNi-PCRで検出可能か検討する。
|