研究課題/領域番号 |
22K05650
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39040:植物保護科学関連
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 (2023) 大阪大学 (2022) |
研究代表者 |
井上 加奈子 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特任助教 (00647737)
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研究分担者 |
大西 浩平 高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 教授 (50211800)
木場 章範 高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 教授 (50343314)
曵地 康史 高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 教授 (70291507)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 病原性 / 感染様式 / PTI / 青枯病菌 / 自然免疫(PTI)回避 |
研究開始時の研究の概要 |
栽培作物に難防除病害をもたらす青枯病菌は、宿主植物根へ侵入直後に、Ⅲ型分泌装置(T3SS)を介して植物内にエフェクターを注入することで自然免疫(PTI)を回避し、感染を成立させる。青枯病菌PTI回避の阻害を利用した持続的な青枯病防除を開発するため、本研究では、根へ侵入直後のPTI回避機構時における青枯病菌の感染機序を明らかにし、青枯病菌によるPTI機構の解明を行う。
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研究実績の概要 |
トマト植物に難防除病害である萎凋症状をもたらす、土壌伝搬性のグラム陰性植物病原細菌青枯病菌は、宿主植物の根へ侵入直後に、III型分泌装置を介して宿主植物内にエフェクターを注入して、宿主植物の自然免疫(PTI)を回避し、宿主植物への感染を成立させる。令和4年度にPTI回避機構誘導時における根への青枯病菌の感染機序について、電子顕微鏡学的手法を取り入れた解剖学解析および走査型電子顕微鏡を用いた画期的な解析法を確立し、青枯病菌の侵入様式と青枯病菌の侵入に伴うトマト植物根の応答について解析した結果、青枯病菌がトマト植物根に固着した早い段階において、トマト植物根の表皮細胞と隣接した領域の皮層細胞では核や細胞質の変性を伴ったPTI回避に関わる細胞死の準備が既に始まっていることを明らかにした。そして、令和5年度においては、これら病原細菌に加えて共生細菌の感染様式や宿主との相互作用についても同手法を用いた解剖学・細胞学的評価を行った。その結果、病原細菌と共生細菌感染の共通点として、植物の皮層への侵入が重要であることを明らかにした。一方、異なる点としては、病原菌は細胞内で過剰増殖し細胞内が満たされると道管に向かって別の細胞でも増殖・移行を繰り返しながら移動するが、共生細菌は侵入細胞で一定数増殖するが、過剰増殖は観察されず、皮層の2層目までで侵入が止まる。 これらの成果を、3報の学術論文と国内の学会で発表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
トマト植物根の解剖学的手法、走査型電子顕微鏡解析法、および、取得データの解析についての系を確立したことで、病原細菌に加えて共生細菌と植物とのインターラクションを比較することができたため、PTI回避解明を行う上で非常に重要な情報を取得することができた。
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今後の研究の推進方策 |
病原細菌感染時のPTIに伴い誘導される植物細胞死の遅延メカニズムについて、共生制御メカニズムと比較して解析を進める。
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