研究課題/領域番号 |
22K05651
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39040:植物保護科学関連
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研究機関 | 岩手大学 (2023) 奈良先端科学技術大学院大学 (2022) |
研究代表者 |
舘田 知佳 岩手大学, 農学部, 特任助教 (30774111)
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研究分担者 |
上杉 祥太 公益財団法人岩手生物工学研究センター, 生物資源研究部, 主任研究員 (30795901)
藤崎 恒喜 公益財団法人岩手生物工学研究センター, 園芸資源研究部, 主任研究員 (30626510)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 感受性誘導 / 抵抗性誘導 / 細菌 / 糸状菌 / シロイヌナズナ / リンドウ / システミック / 病原菌 |
研究開始時の研究の概要 |
植物と病原体は、病原体の存在している植物組織のみならず、病原体の存在していない非感染組織においても、病原体に対する抵抗性や感受性の誘導といった互いの生存をめぐる攻防を繰り広げている。 近年我々は、気孔侵入型の病原体によって植物の非感染葉(新生葉)の気孔形成が促進された結果、宿主の感受性が亢進される現象を見出した。未だそのメカニズムがほとんど明らかにされていないこの新奇現象に焦点を当て、気孔侵入型病原体の感染戦略の理解につなげる。
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研究実績の概要 |
気孔侵入型の病原体によって引き起こされる気孔形成制御を伴う、非感染葉での感受性誘導(Systemic-induced susceptibility;SIS)機構の解明を目的として研究を行った。昨年度、既知の防御応答関連遺伝子のシロイヌナズナ変異体を用いたスクリーニングから、SIS誘導条件下において、SIS誘導が抑制されているばかりでなく、全身獲得抵抗性(Systemic acquired resistance;SAR)が誘導される変異体が存在していることを見出した。そこで本年度はSIS誘導条件下におけるシロイヌナズナのトランスクリプトーム解析を行なったところ、SAR関連遺伝子群がSIS誘導条件下で誘導されることがわかった。また、これまでに得られていたリンドウ葉枯病菌感染時のリンドウのトランスクリプトームデータを利用した再解析からも同様の結果が見出されたことから、SIS誘導条件下において実はSARも誘導されているという現象は、植物に共通する現象であると考えられた。これらのSAR関連遺伝子群の詳しい発現パターンについて、リアルタイムPCR法を用いて解析した結果、病原菌種と植物種の組み合わせにより発現パターンの差は見られるものの、非感染葉で誘導される共通のSAR関連遺伝子が存在していた。そこで、リンドウの一部の葉にリンドウ葉枯病菌を一次接種することでSAR関連遺伝子が誘導されたと仮定した植物体に、二次接種源としてリンドウ葉枯病菌またはリンドウ黒斑病菌を接種した。すると、リンドウ葉枯病菌を二次接種した区の植物体は対照区の植物体と比較して感受性を示したが、リンドウ黒斑病菌接種区の植物体は抵抗性を示した。これらの結果から、やはりSIS誘導環境下ではSARも同時に引き起こされていることが示唆された。また、上記シロイヌナズナおよびリンドウのトランスクリプトーム解析からはSIS誘導に関わる候補因子も推定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画内で軸となっているトランスクリプトーム解析およびメタボローム解析を利用したSIS誘導条件下で変動する因子の同定については、シロイヌナズナとリンドウのトランスクリプトーム解析により候補因子の絞り込みに成功した。また、上記解析から、SIS誘導条件下でも同時にSARが誘導されていることも見出した。メタボローム解析については本年度中の解析には至らなかった。今後、トランスクリプトーム解析から絞り込んだ候補因子のシロイヌナズナ変異体を用いてSIS誘導能の検証を行い、その解析結果を元にメタボローム解析の必要性について再度検討する必要はある。一方で、研究代表者の異動に伴い、研究環境の整備に時間を要したため、SIS誘導抑制変異体のスクリーニングの進捗状況に遅れが生じている。来年度は本項目について集中的に取り組む必要がある。しかしながら、ベンサミアナタバコ由来のSISシグナル因子候補ペプチドの同定にも成功しており、全体としての研究進捗状況としては、概ね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、変異体スクリーニングを重点的に進める。初年度の変異体スクリーニングの結果と合わせて、SIS誘導が抑制されかつSARが誘導される表現型を示した変異体を対象に詳細な機能解析を行っていく。本年度の研究から絞り込んだSIS関連候補遺伝子の発現パターンを指標に、上記変異体と野生型との比較解析を行う。SIS誘導条件下においての発現パターンが異なるSIS関連遺伝子をSISマーカーとして利用し、様々な環境条件におけるSIS誘導能の調査を行なっていく。初年度に生育培地中の糖濃度がSIS誘導に影響することを見出しており、特に、糖濃度との関係についても詳しく解析を行う予定である。さらに、本年度同定したベンサミアナタバコ由来のSISシグナル候補ペプチドについて、SIS誘導に実際に関与しているかどうか、また、シグナルとして利用されているのかを証明するために、当該タンパク質をベンサミアナタバコの一過的発現系を利用して解析する。これにより、シグナルとして認められたタンパク質のその機能と役割について、先述のSISマーカーを指標にした環境条件との干渉作用も含めて解析を行う予定である。最終的には、トランスクリプトーム解析から得られた候補因子に加えて、上記シロイヌナズナの研究から得られる候補因子を含めてリンドウゲノム編集体を作製し、リンドウ葉枯病菌に対する非感染葉での感受性強度の変化を確認する。
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