研究課題/領域番号 |
22K05655
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39040:植物保護科学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
中村 正幸 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (90404475)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | Xanthomonas / 糖鎖分解酵素 / 病原性(力) |
研究開始時の研究の概要 |
当大学にて、世界で初めてビフィズス菌より発見された新規酵素群が、興味深いことに、植物病原細菌の中ではXanthomonas属細菌にのみ認められる。また、本酵素群の基質は、植物細胞壁に存在している病原体侵入の阻止に関わるエクステンシの糖鎖である。ビフィズス菌は本酵素群を利用することで、腸内に届いたエクステンシンから炭素源の獲得を行っている。一方、Xanthomonas属細菌の場合、エクステンシンの性質上、本酵素群をむしろ抵抗性打破に利用している可能性がある。そこで本研究では、高いエクステンシン蓄積を示すウリ科植物に感染する褐斑病細菌を主に用い、新規の植物免疫打破システムの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、ウリ類褐斑病細菌(Xcu)に認められるビフィズス菌由来HypBA1およびHypBA2のホモログのクローニングと大腸菌を用いた組換えタンパク質発現を行い、それぞれの基質特異性について調査を行った。HypBA1のホモログは、Xcuのゲノム上に2つ存在していたことから、それぞれをXcuHypBA1-1とXcuHypBA1-2とし、pET-23bを用いてクローニング後、大腸菌でタンパク質を発現させたところ、いずれも可溶化タンパク質を得ることができた。そこで、これらの基質特性を調べたところ、XcuHypBA1-1は、1つのアラビノース(Ara)とヒドロキシプロリン(Hyp)が結合したAra-HypからAraを遊離することが分かった。一方、XcuHypBA1-2は、Ara-Hypに加え、Ara2-Hypにも作用することが分かった。ビフィズス菌由来HypBA1は、Araが2つ結合したβ-Ara2に作用することから、Xcu由来のHypBA1は、ビフィズス菌のものと機能が異なることが分かった。次に、XcuHypBA2のタンパク質発現を試みたところ、pET-23bではタンパク質が発現しなかったことから、pCold-TFを用いて融合タンパク質で発現させたところ可溶化タンパク質を得た。基質特性を調べたところ、Ara3-Hypからβ-Ara2を遊離することが分かった。これは、ビフィズス菌由来のHypBA2と同じ機能であった。XcuHypBA2をコードしている上流には、病原性遺伝子の転写に関わる因子(HrpX)が結合する領域(PIP-box)が認められたことから、XcuをHrpX誘導培地で培養し、遺伝子発現解析を行ったところ、XcuHypBA2遺伝子の発現が促進されることが分かった。つまり、Xcuが植物に感染する際、本遺伝子の発現がHrpXにより誘導されることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アラビノオリゴ糖鎖分解に中心的に機能すると予想されていたXcuHypBA1-1、XcuHypBA1-2およびXcuHypBA2の組換えタンパク質発現に成功し、それぞれの基質特性を特定することができた。また、XcuHypBA2の遺伝子発現は、病原性遺伝子発現に重要な転写因子であるHrpXにより制御されている可能性も明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、残りの酵素であるXcuHypAAの組換えタンパク質発現と機能解析ならびに各酵素遺伝子の破壊株を作出することで、これら酵素群と病原性(力)との関わりを明らかにする。合わせて、病原性遺伝子発現に関与するXrpXの遺伝子破壊株も作出し、宿主上での各酵素遺伝子の発現パターンを定量PCRにより野生株と比較解析を行う。
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