研究課題/領域番号 |
22K05668
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
相内 大吾 帯広畜産大学, グローバルアグロメディシン研究センター, 准教授 (50552783)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 昆虫寄生菌 / 経口投与 / 農業害虫 / 衛生害虫 / 貯穀害虫 / 経口感染 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで着目されることがなかった、昆虫寄生菌の経口感染経路に焦点を当て、その感染・殺虫メカニズムを組織病理学的、生化学的、分子生物学的手法を駆使して明らかにすることを目的とする。また、摂食様式の異なる4種の昆虫を対象とし、それらの餌と共に効率的に昆虫寄生菌を摂食させる、消化管デリバリーシステムの確立も目指す。これらの研究を通じて、消化管内での昆虫寄生菌の動態を把握し、その経口投与による新たな害虫防除戦略構築への道筋をつける。
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研究実績の概要 |
ハマダラカに対するBeauveria pseudobassianaによる経口毒性に関連する遺伝子の同定のため、RNAseqによるトランスクリプトーム解析を実施した。その結果、毒性発現用培地で培養した菌体で2799の遺伝子発現が増加し、特にペプチダーゼやアルカロイド生成酵素、キチナーゼなど、毒性の発現に直接関与するであろう遺伝子を特定した。また、ハマダラカでの感染動態を比較するため、ネッタイシマカも供試したところ、両感染症媒介蚊に高病原性の新たな菌株を発見するに至った。トウモロコシに対するBeauveria bassianaとAkanthomyces属の内生能力の評価を実施し、昆虫寄生菌4菌株が内生可能であることと、最適な菌接種方法を見出した。また、アブラムシに対する試験では、Akanthomyces属がキュウリの植物体内を移動し、非接種部位からも検出可能であることを明らかにした。さらに、非接種部位に放飼したアブラムシが、内生状態のAkanthomyces属に感染することも明らかにした。ナガシンクイムシに対しては、擬似毒餌投与試験の条件検討を実施し、擬似餌の植物農薬を昆虫寄生菌に置き換えて、摂食させることに成功した。また、当該年度に昆虫寄生菌にGFP遺伝子を導入する、組換え実験が所属機関で承認された。これにより、各昆虫体内での昆虫寄生菌の動態を可視化することが可能となり、より効率的に経口感染による殺虫機構の解明に寄与するものと期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題で対象としてる4害虫それぞれの試験については、進展に強弱はあるもののそれぞれ順調に前進しており、概ね順調に進展しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度、所属機関で承認された昆虫寄生菌に対するGFP遺伝子のの組換え実験を実施し、昆虫寄生菌の蛍光観察により各昆虫の消化管での感染動態を観察できるようにする。ハマダラカでは、消化管からの詳細な感染の様子を観察し、2022年度に発見した新たな菌株との比較を通じて、より詳細な殺虫機構の解明につなげる。アワノメイガでは、昆虫寄生菌内生植物体の投与試験とそれに伴う致死性の評価を開始する。アブラムシでは、GFP組換え昆虫寄生菌を用いた植物体内での動態と、どのようにして内界である植物体内から、外界であるアブラムシに昆虫寄生菌が取り付いているのか調査する。ナガシンクイムシでは、擬似毒餌投与後の致死率や摂食量、繁殖に対する影響を評価する。
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