研究課題/領域番号 |
22K05672
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
藤原 亜希子 群馬大学, 食健康科学教育研究センター, 講師 (90726720)
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研究分担者 |
渡邊 和代 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 契約研究員 (80835116)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | タバココナジラミ / 共生細菌 / 菌細胞 / 細胞培養 / 初代培養 / 吸汁性農業害虫 / 機能解析手法 / 培養細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
多くの吸汁性農業害虫が有する菌細胞共生系は、宿主昆虫と共生細菌が互いに不足する栄養素を補い合う生存・繁殖に必須のシステムであるが、その分子機構には未解明な点が多い。そこで本課題では、タバココナジラミ菌細胞を用いた効率的機能解析手法の開発を目的とする。まず菌細胞の長期安定維持培養法を確立し、ハイコンテント解析使用へと最適化する。さらに、タバココナジラミ菌細胞が有する高い増殖力に着目し、世界初の菌細胞由来の培養細胞株化にも取り組む。この培養細胞株樹立に成功し、さらにハイコンテント解析で使用できるようになれば極めて有用な実験系となり、様々な菌細胞共生系の分子機構の解明に繋がることが期待される。
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研究実績の概要 |
吸汁性農業害虫の中には、共生細菌を収納するための“菌細胞”という特殊な共生器官を体内に持つものが多く存在する。この菌細胞共生系は、宿主昆虫と共生細菌が互いに不足する栄養素を補い合う生存・繁殖に必須のシステムであることから、生物学のみならず農学分野からも注目されている。しかし、その特異性ゆえに菌細胞共生系で使用できる簡便かつ効果的な遺伝子操作技術が不足しており、分子機構の多くは未解明である。そこで本課題では、「(I)タバココナジラミ菌細胞の長期安定維持手法の確立」、「(II)タバココナジラミ体細胞由来培養細胞株の樹立」、「(III)タバココナジラミ菌細胞由来培養細胞株の樹立」、「(IV)ハイコンテント解析使用条件の最適化」の4つの段階的な研究課題を設定して、タバココナジラミ菌細胞を用いた共生関連遺伝子の機能解析手法の開発を目指す。 初年度、課題(I)ではまず、入手しやすい市販培養液のGrace’s insect medium、IPL-41を候補としベース培養液の検討を行った。その結果、IPL-41では培養後の時間経過に伴って細胞膜が維持されなくなり、細胞の形が崩れることが判明したため、Graceを選定した。続いて、FBS濃度の検討を行った結果、濃度を20%に増やすことで、細胞膜が良好に維持され、菌細胞の色が濃い (共生細菌が生存している) 状態で長期維持でき、培養後の生存率向上に成功した。さらに、グルタミンとPVP(Polyvinylpyrrolidone K90) の添加についても検討を行った結果、Grace 20F + PVP 1mg/ml + glutamine 20mM条件において、培養7日後の菌細胞生存率約8割 (78.54 ± 2.129 %) が達成された。 さらに、課題(II)では、タバココナジラミ卵を大量に回収しホモジナイズした状態から初代培養を開始した条件において、9ヶ月以上培養液中にて生存している状態 (位相差顕微鏡で細胞外観等の様子から確認)を維持しているサンプルが存在することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題(I)においては菌細胞生存率約8割を達成する培養条件の確立に成功し、課題(II)では、タバココナジラミ卵を大量に回収しホモジナイズした状態から初代培養を開始した条件において、9ヶ月以上培養液中にて生存している状態を維持するサンプルの存在を確認できたため。
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今後の研究の推進方策 |
上述の課題(1)の遂行によって得られた長期培養条件を使用し、課題(IV)の段階へ進む。まずは、タバココナジラミ若齢メス成虫から回収した菌細胞を用いて、96wellプレート上での機能解析実験を行う最適条件の検討を行う(この時の菌細胞回収方法についても、初年度に改良したプロトコールを用いる)。課題(II)については上述の条件での初代培養を継続するとともに、課題(III)遂行のために、菌細胞・体細胞の共培養などを追加改善策として試みることも計画している。
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