研究課題/領域番号 |
22K05673
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渋谷 園実 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (50598232)
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研究分担者 |
福田 健二 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (30208954)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 飛翔性 / 食性 / 生活史 |
研究開始時の研究の概要 |
地表徘徊性甲虫類(オサムシ科)は、生息地の環境変化に鋭敏に反応するため、環境指標生物として国内外でモニタリングされている。しかし、地表徘徊性甲虫類の生態は、オサムシ亜科や一部の種を除いては断片的な情報しかない。また、飛翔性を持つ種と持たない種では、環境変化への応答が異なるはずであるが、飛翔能力についても十分な情報がない。モニタリング調査の結果から環境変化の影響を抽出するためには、飛翔性、食性などの基本的な生態情報が必須である。そこで、1)日本産の主な地表徘徊性甲虫類の生態情報のデータベースを作成する。さらに、2)これらの遺伝子解析を行い、飛翔能力の喪失と食性の転換などの進化過程を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、生物指標としてモニタリングされている地表徘徊性甲虫類(コウチュウ目オサムシ科)を対象に、1.日本全国で分布域が広く出現頻度の高い種の生態情報のデータベースを作成する。次に、2.これらの遺伝子解析を行い、飛翔能力の喪失と食性の転換などの進化過程を明らかにしようとしている。 このうち、1の生態情報については、特に飛翔性や移動分散に関して、より詳細に調査を行っている。地表徘徊性甲虫類は、飛翔性を持つ種と持たない種がいることが明らかになっているが、飛ぶための後翅が退化して飛ばない種については比較的研究が進んでいるものの、飛翔する種、飛翔可能な種については限定的である。そこで、まず以下を中心に地表徘徊性甲虫類の飛翔性と食性を調べた。 1)飛翔性:飛翔する種のサンプリングを主に見つけ取り法によって実施した。また地表徘徊性甲虫類で最も一般的に行われる落とし穴式トラップ(ピットフォールトラップ、PT)も併せて実施した。次に同定作業を行い、実際に飛翔する種群を把握し、PT法で捕獲された種群と比較した。 2)食性(餌):食性は飛翔性や分散能力と深くかかわっている。種ごとの主な食性、肉食か植食か、は明らかになりつつあるが、季節によるターゲットとなる餌の変化を判定するために、PTによるサンプリングを春季と秋季に限定することなく、通年で毎日実施した。特に飛翔する植物食の種に関しては、植物の結実時期との関連が大きいことが示唆されるため、PT設置場所周辺に生育する植物のフェノロジー調査も併せて開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
野外から採集したサンプリングのソーティング作業、また新たな種の出現により同定作業に時間を要したことに起因する。本研究では、充分な解剖供試個体が必要であるため、優先順位をつけ、まずは野外調査の拡充と出現した各種の正確な同定に時間を費やしたためである。
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今後の研究の推進方策 |
1年間を通じサンプリングした個体の解剖作業にとりかかる。これまで確立してきた判定法を生かし1.後翅形状の判定、2.飛翔筋の有無の判定を行う。そして現在確立しつつある食性判定法を試しながら、いつ、どのような餌を捕食しているかの調査を推進する。 なお、本年食性を判定するために不可欠な光学顕微鏡、及び試薬を準備できたので、それらを最大限に活用する。
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