研究課題/領域番号 |
22K05687
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39060:生物資源保全学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
山岸 洋貴 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (40576196)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2026年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 生物多様性 / ブナ帯の池沼 / 水生植物 / 白神山地 / 温暖化 / 環境モニタリング |
研究開始時の研究の概要 |
我が国の陸水域における生物多様性の減少は著しい. 生物多様性保全に関する効果的な対策を講じるには, さらなる地域レベルでの生物の分布や生育環境等, 実態の解明が不可欠である. 本研究は,昨今の気候変動により乾燥化が進行し, 急激な変質の可能性があるブナ帯の池沼に注目する.これらの池沼は小規模ながらも地域の生物多様性維持に貢献していることが予備研究から示唆されている. そこで広域かつ網羅的にその環境特性や生物相を解明することで,ブナ帯の池沼が地域の生態系に果たす役割や, 気候変動への応答について予測,考察を行う.
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研究実績の概要 |
2022年度は,コロナ禍による人的制限や主たる調査地であった白神山地が豪雨災害に見舞われ調査地にアクセスするのが困難になるなど予定通りの調査を行うことができなかった.調査は3カ所のみで行い,それぞれ植生の記録等を行った.うち1か所は,調査時の夏季には開水面が失われており,湿地化が進んだものと考えられた.国土地理院発行の2万5千図には開水面表記があるが,聞き込み調査の結果,少なくとも2000年代初頭には夏季でも開水面が存在していたとのことで,比較的近年,水量が減少したものと考えられた.予備調査を含めて地図標記で開水面があったにもかかわらず,開水面が全く存在しなかった池沼はこれが初めてである.植生もこれまでほとんど観察されていなかったミズバショウが全面を覆っていたころから少なくともこれまで調査してきた池沼と異なるタイプである可能性がある. また,予備調査を行った池沼で再び植生調査を行ったところ,これまで確認されていなかったいくつかの水生植物が発見された.その中には調査地地域の白神山地では池沼に共通して出現するタマミクリが含まれたことから,白神山地におけるブナ帯に位置する地沼を代表とする種の1つはタマミクリであることを支持するものとなった.タマミクリは開水面が存在する場所でのみ観察されることから,種子分散様式を理解することで,ブナ帯の池沼の生物多様性創出メカニズム解明の一助となる可能性がある. 研究活動に制限があったものの,これまでの成果をまとめて水草研究会の全国集会で口頭発表し,さらに現在これまでのデータの論文化を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は,コロナ禍による人的制限や主たる調査地であった白神山地が豪雨災害に見舞われ調査地にアクセスするのが困難になるなど予定通りの調査を行うことができなかった.特に輸送人員及びルートの確保が難しく水深,雨量などを設置することが今年度は出来なかった.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は定期観察を行う調査地の設定,機器類の設置等を進める.白神山地は2022年度の豪雨災害からの回復が本年度も見込めない恐れがあり,サブ調査地域である新潟県や近隣県での調査を検討することとする.また,地形の専門家からも助言を求め,池沼が位置する地形的特徴についても情報の収集を図る予定である.
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