研究実績の概要 |
東南アジア熱帯では過度な森林伐採やプランテーションなどの開発とその後の土地の放棄により植生の回復に時間のかかる荒廃地が多く存在する。荒廃した土地における土壌改良や植生回復速度の向上を目指し、本申請研究では荒廃地に生育できる先駆樹種の生態系内での機能(種特性や環境形成作用)と、遷移後期樹種との相互作用系(成長などの競争―促進関係)を解明することを目的としている。生態系内での機能としては植物器官に含まれる金属元素蓄積量、乾燥耐性や根からの滲出物を明らかにする。遷移後期樹種との相互作用系は、ポットなどでフタバガキ科などの遷移後期種と先駆樹木種の混植実験を行い、植栽による組み合わせがターゲットとなるフタバガキ科樹木の成長量にどのように影響を及ぼすかの評価を行う予定である。今年度はすでに採取していた先駆樹種4種の3器官(木部、葉、繁殖器官)に含まれる24金属元素(Mg, Al, K, Ca, V, Mn, Fe, Cu, Zn, As, Sr, Baなど)の蓄積量を定量し、既存研究との比較を行った。これまで分析されていなかった元素の蓄積量が明らかになったほか、器官や種による違いが明らかになった。乾燥耐性や根からの滲出物の調査、植栽実験などの現地調査については、マレーシア・サラワク州における研究許可の認可機関の変更に伴い、新たに研究許可を取り直す必要があるため、まだ実施できていない。現地カウンターパートらと継続的に協議を行っており、なるべく早めに現地調査を開始したい。
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