研究課題/領域番号 |
22K05696
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39060:生物資源保全学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
畑瀬 英男 近畿大学, 農学部, 非常勤講師 (10512303)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ウミガメ / 集団サイズ / 性比 / 孵化特性 / 屋久島 |
研究開始時の研究の概要 |
絶滅が危惧されているアカウミガメの集団サイズに、性比および孵化特性がどのように関わっているのかを、北太平洋最大の産卵場である屋久島において、野外調査、遺伝子分析、およびデータ解析を行うことで明らかにする。5~7月に産卵雌、7~9月に孵化幼体の調査を行う。産卵雌と孵化幼体の遺伝子分析から、繁殖に関わった雄の数を推定し、産卵雌の数と比べて、実効性比を算出する。孵化期間と巣数から推定された一次性比と比較し、成長に伴い性比が変動しているのか検証する。また孵化幼体の体サイズと巣からの脱出成功率において季節変異および年変異を調べ、巣と砂中温度との関係を探る。
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研究実績の概要 |
性比は集団サイズの決定要因の一つである。実際に繁殖に関わっている成熟個体の性比である「実効性比」が極端に偏っていれば、有効集団サイズは小さくなり、集団成長は望めない。孵化温度で性が決まるウミガメでは、高温で雌を、低温で雄を生じる。砂中温度の高い産卵地では、「一次性比」が雌へ極端に偏っていても、高温で生じる雌の幼体は小型で不活発なため生き残りにくく、「実効性比」は逆に雄へ偏ることが報告されている。本研究では、砂中温度がそれほど上昇しない、アカウミガメの北太平洋最大の産卵場である屋久島において、(1)実効性比はつり合っているのか、(2)成長に伴い性比が変化するのか、を検証した。 2014~2021年に鹿児島県屋久島永田浜において産卵雌調査を行い、計107巣を浜上部へ移植した。産卵日から幼体の巣からの初脱出日までの日数である孵化期間を記録した。孵化期間を砂中温度へ変換し、その孵化期間中の気温と雨量から砂中温度を推定する回帰式を作った。砂中温度を1975~2022年の48年分推定し、巣数の季節変化を考慮して各年の一次性比を算出した。2020と2021年には、産卵雌28頭とその幼体548頭から遺伝子分析用試料を採取し、マイクロサテライト5座位の解析を行った。GERUDとCOLONYを用いて父親数を推定し、実効性比を算出した。 平均(±SD)一次性比(% 雌)は、28.1±14.1であった。実効性比は、GERUDで40.9、COLONYで25.2、平均33.1であった。実効性比に極端な偏りが見られないことは、屋久島で繁殖するアカウミガメの有効集団サイズが大きいことを示唆する。また一次性比と実効性比にあまり大きな違いが見られなかったことは、屋久島では雌雄の幼体の生残率が同様であることを示唆する。これらの結果は、孵化環境がウミガメの集団サイズを主に決めていることを示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実効性比算出のための遺伝子分析をおおむね終えて、一次性比との比較を行い、その内容に関して年度末に学会発表を2つ行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
学会発表した内容を、査読付き学術論文として完成させる。
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