研究課題/領域番号 |
22K05697
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39060:生物資源保全学関連
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
矢野 興一 岡山理科大学, 生物地球学部, 准教授 (60582757)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | スゲ属 / 絶滅危惧種 / 染色体 / DNA塩基配列 / カヤツリグサ科 / 種子発芽 / 遺伝的多様性 |
研究開始時の研究の概要 |
カヤツリグサ科スゲ属植物は被子植物の中で最も多様化した分類群の一つである。日本には約269種のスゲ属が分布しているが、そのうち97種が絶滅の危機に瀕している。しかしながら、スゲ属の絶滅危惧種について、詳細な生活史特性が分かっておらず、また、遺伝的多様性の研究が進んでおらず、保護・保全に関する研究は進んでいない。 そこで本研究では、日本産スゲ属の絶滅危惧種の保護・保全のために、1)野外調査にて絶滅危惧種のスゲ属を見出し、生育環境や個体数等を把握し、2)種子発芽実験によって、詳細な生活史特性を解明し、3)染色体解析とDNAの塩基配列解析によって、遺伝的多様性を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
2023年度は、4月から7月にかけて、九州、中国、北関東、北海道で絶滅危惧のスゲ属植物種を見出すために現地調査を行った。8月は亜高山帯や寒冷地に生育する絶滅危惧のスゲ属植物種を見出すために南アルプス、北海道において現地調査を行った。その結果、前年度に引き続き、絶滅危惧のスゲ属植物種25分類群を現地で見出すことができ、現地での生育状況および推定個体数を明らかにした。また解析用のサンプルとして、染色体解析用の根端細胞を固定し、発芽実験用の完熟した種子、DNA解析用の乾燥葉およびDNA抽出液を作成した。現在、これらのサンプルを使用して、DNAの塩基配列の決定、染色体数の算定を行なっているところである。 ここまでの研究成果として、絶滅危惧種のスゲ属植物の現状ついて2023年度すげの会全国大会(長野)で口頭で発表したほか、絶滅危惧種のスゲ属を含むスゲ属タマツリスゲ類の系統分類学的研究についての共著論文(Takahashi et al. 2023)、トックリスゲやツシマスゲの分布や生育状況、新産地の報告をした(矢野ほか 2023a, 矢野ほか 2023b)。また調査・研究の過程で見出された新種のスゲ属2種も記載し発表した(Yano et al. 2024)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、申請書に記載している調査計画に基づき、花の時期にあわせて、九州、中国四国、南アルプス、北関東、北海道で絶滅危惧のスゲ属植物種を見出すために現地調査を行い、25分類群の絶滅危惧スゲ属種の生育状況を明らかにでき、各解析用サンプルを収集することができた。各解析は順次すすめているところであり、その一部だが、現状についても研究報告を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、2022年度、2023年度に調査しきれていない絶滅危惧のスゲ属種を中心に、主に北海道および亜高山帯での現地調査を予定している。また昨年度、新たに見出した種と既存の絶滅危惧種の近縁種との関係性も明らかにするために、九州での調査も予定している。特に、亜高山帯ではアクセスが難しい地域や許可申請に時間がかかる地域について進める予定である。収集したサンプルについては、順次、詳細な解析を進める予定である。
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