研究課題/領域番号 |
22K05722
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39070:ランドスケープ科学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
内田 和伸 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 文化遺産部, 部長 (30249974)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 近世城跡 / 移築遺構 / 朝鮮灯籠 / 礎石 / 伽藍石 / 遺跡 / 庭園 / 石造物 / 数寄者 / インタープリテーション |
研究開始時の研究の概要 |
近代数寄者が庭園を造営する際に国内外の遺跡由来の石造物を多く集めた事例が少なくない。その石造物本来の遺跡にとっても、移築先の近代庭園にとっても重要な構成要素である。また、作庭それ自体は文化的営為であるが、近代数寄者の伽藍石等の蒐集は遺跡の破壊およびそれに対抗する保存整備にも繋がり、近代文化財保護思想との対立という二面性も有する。 本研究では遺跡由来の石造物を有する近代庭園を把握し、作庭の思想や遺跡由来の石造物の蒐集・流通方法、近代日本の文化財保護行政における遺物の扱い等について分析し、近代庭園の文化的意義を多面的に把握、移築された石造物の扱い原則及びインタープリテーションについて提言する。
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研究実績の概要 |
今年度は移築された遺跡由来の石造物だけでなく、建造物遺構についても幅広く把握することをおこなった。具体的には、近世城跡から移築された城郭建築遺構について、Ⅰ公園など公共団体の管理地に移築されているものとⅡ社寺に移築されているもの、Ⅲ民家に移築されているものに分けて、Ⅰについては移築に伴う発掘遺構との関係性、Ⅱについては所有者の保存意識等について考察を行い、保存の在り方を論じた。 移設された石造物については、東大寺の礎石を取り上げ、近代になって関西を代表する数寄者が大阪に設けた邸宅の庭石に移設したものであるが、建物と庭園を引き継いでいた会社がそれらを売却し、礎石をはじめとする製造物の購入者が芸術家杉本博司氏であった。氏は設立した小田原市内の財団が運営する文化施設に移設し公開したため、現地調査をおこなった。史跡整備の観点からは本来的な位置へ戻されることが望ましかったが、石造物は美術品扱いであり、それが難しいことがわかった。 奈良市内の近代庭園でも古建築・遺材の利用が見られ、朝鮮王朝時代の貴人の墓に用いられた朝鮮燈籠が二基確認できた。 上記の内容については、『移築された遺跡由来の遺構および石造物の現状と課題』の中で、 「近世城跡から移築された城郭建築遺構の保存・活用について」、「奈良市内の近代庭園における古材利用」、「移築・移設された遺跡由来の遺構・石造物について」で詳述している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査も行え、それを活かした研究成果も3本公表できた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍で現地調査は十分おこなえなかったことから、次年度には現地調査を充実させたい。また、県庁文書の調査により、遺跡保存とくに遺跡の中の石造物の取扱いについて知見を得たい。
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