研究課題/領域番号 |
22K05723
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
松英 恵吾 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (20323321)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 足尾 / 空中写真 / SfM/MVS / 復旧事業 / 植生回復 / 足尾荒廃山地 / 災害復旧モニタリング / 点群データ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では足尾荒廃山地を対象に1940年代以降、約80年間について最新の画像処理技術を用いて、過去の空中写真から3次元点群データを生成し土地被覆、林冠高、蓄積について動態を把握する。そのモニタリング結果と復旧事業の施工履歴を照合し対応関係について検討を行い、足尾荒廃山地の現状および復旧過程を明らかにすることを目的とする。足尾銅山は産業遺産であり、足尾荒廃山地は負の遺産でもありその社会的必要性から今後も手法を検討し客観的なモニタリングを継続することが求められる。長期的な視点でその復興,復旧のモニタリングを継続的に実施することが求められ、今後も続く復旧事業計画の礎となる取り組みである。
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研究実績の概要 |
足尾荒廃山地の対象区域について激害地を中心に米軍、国土地理院、林野庁、群馬県撮影の過去の空中写真データ、合計457枚をデータベースおよび標定図を用いて検索選定し、アナログ写真についてはスキャン済みデータ、デジタル写真はデータを日本地図センターより取得した。撮影期間は現在入手可能な1947年から2014年のデータである。すべてのデータについて全ての空中写真データ(計457枚)について写真内の外枠・計器・マーク・スタンプ等をマスク処理した上で内部評定し、GCP(計345点)を設定して地図座標および標高を付与した。GCPについては基本的に対象期間内で変化がない地盤面を写真判読によって抽出した。地盤高は国土地理院数値標高モデル5mメッシュデータ(航空機レーザー)により設定を行った。一部のGCPについては山腹工施工後、地盤が安定している期間の写真のみ適用した。これらの前処理後、撮影時期毎にSfM処理(外部評定、内部評定、地上基準点設定、画像特徴点抽出)を実施し、MVS処理により高密度点群データを生成した。生成された高密度点群データよりDSM(Digital Surface model)およびオルソモザイクを作成した。生成されたDSMについては地盤高検証用のGCPを設定し補正処理を行った。空中写真は撮影時期により撮影高度・画質に差があるため生成されたデータの比較検証を行った結果、対象地の一部については撮影季節、影、白黒/カラー、画質による精度への影響があることが確認された。対象区内でこれらの影響がなかった地域を選定し、土地被覆、林冠高、蓄積について動態を把握した。結果的にLANDSAT時系列データで変化が顕著であった区域の植生回復の過程を明らかにすることができた。また、植生指数では樹冠閉鎖後の変化が認められなかった地域においても植生が順調に成長していることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では令和4年度はSfM/MVS処理を行うことまでを計画していたが、対象地の一部については令和5年度に計画していた土地被覆、林冠高、蓄積の経年変化について時系列解析を前倒しして実施し動態を把握することができた。一方、対象地の一部については撮影季節、影、白黒/カラー、画質によるDSMの精度への影響があることが確認されたため次年度、引き続き画像処理による画質の調整、GCPの見直し、追加設定などを実施することを計画している。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に計画されていた写真選定およびSfM/MVS処理は全て実施し、対象地の一部については令和5年度に計画していた土地被覆、林冠高、蓄積の経年変化について時系列解析を前倒しして実施し動態を把握することができた。今年度の成果より過去の空中写真を使用してSfM処理を行うことで植生回復の過程を明らかにすることが十分可能であることが確認できた。今後は撮影季節、影、白黒/カラー、画質によるDSMの精度への影響があることが確認された区域について次年度、引き続き画像処理による画質の調整、GCPの見直し、追加設定などを実施することを計画している。また、空中写真データが存在しない2014年以降については高解像度衛星データやデジタルオルソフォトデータなどを使用して動態の把握を行う予定である。
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