研究課題/領域番号 |
22K05724
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
大久保 達弘 宇都宮大学, 農学部, 教授 (10176844)
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研究分担者 |
飯塚 和也 宇都宮大学, 農学部, 教授 (20344898)
逢沢 峰昭 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (70436294)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 放射性Cs移行過程 / きのこ原木生産 / 腐葉土生産 / 暫定許容値 / きのこ原木落葉利用再開予測 / 安定同位体セシウム(133Cs) |
研究開始時の研究の概要 |
福島原発事故による放射性セシウムの降下沈着影響下の里山落葉広葉樹のナラ類林では、事故後10年が経過し初期段階から準平衡段階に移行している。農地と林地の一体的利活用が行われてきた里山地域のうち、初期沈着量の比較的少ない場所では、本格的な土地利用再開に向けて動き出している。その状況下で、里山林内の落葉広葉樹ナラ類(コナラ、ミズナラ)の枝葉と樹体を利用した“きのこ原木生産”と“腐葉土生産”との複合的な利用再開予測に焦点をあて、樹上枝葉と樹幹、落葉との放射性Cs濃度と量の関係、その空間変動を明らかにすることで、ナラ類の“きのこ原木”と“腐葉土”としての利用再開可能性への放射性Cs評価を行う。
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研究実績の概要 |
福島第一原子力発電所事故に伴い放出・沈着したセシウム137(以下、137Cs)による里山落葉広葉樹林のナラ類林の生態系サービにおいて暫定規制値が設定されている。腐葉土生産ときのこ原木生産に供するナラ類広葉樹林の林床落葉と立木樹幹の放射性Cs蓄積に焦点を絞り、落葉樹林生態系での放射性Cs移行過程を解析することにより、福島原発事故後の初期段階以降の準平衡段階に移行しつつある時期における放射性Csの樹体、枝葉並びに堆積有機物層(A0層)を含めた森林生態系における循環過程を明らかにする。特にナラ類の樹冠部の枝葉を用いて放射能汚染地域における落葉由来腐葉土ときのこ原木の両方の採取利用再開予測モデルを構築すること、またその空間変動を明らかにすることによって両者利用再開のための地域予測モデルの構築を本研究の目的とする。そこで初期沈着量の異なる県内13地域においてコナラ樹上枝葉、樹幹、落葉および表層土壌を採取し、コナラの部位間の137Cs濃度(ガンマ測定値から推定)・133Cs濃度(固体AAS測定)の関係、133Cs濃度からの樹幹・落葉の137Cs濃度の推定について検討を行った。樹体内での137Cs濃度分布は樹上葉と樹皮で特に高く、おおむね初期沈着量に比例して樹体の137Cs濃度が高くなる傾向があった。また部位間の133Cs濃度・137Cs濃度の比ではそれぞれ正の相関がみられ、樹体内での137Csの分布が133Csの分布に似ていることから、平衡状態に近づいていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回拡大した13地点の測定結果から、コナラ立木の樹上葉と樹幹・落葉との間で線形回帰分析ではデータの当てはまりが良かった。このことから、樹上葉の濃度から樹幹・落葉の濃度が推定可能であるとの判断に至ったため。
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今後の研究の推進方策 |
コナラ立木の137Csの樹上葉と樹幹・落葉の関係性の普遍化のため、栃木県内の高濃度から中濃度地域13地点を選定し、現地調査を実施して解析した、その結果について、さらに精緻化していく予定である。
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