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微生物を含めた環境トレーサーで古生層山地小流域における斜面地下水動態を探る

研究課題

研究課題/領域番号 22K05733
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分40010:森林科学関連
研究機関国立研究開発法人森林研究・整備機構

研究代表者

細田 育広  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60353843)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワード古生層 / 寡雨 / 出水 / 経時変動 / 細菌叢 / 古細菌 / 降雨流出過程 / 風化帯 / 斜面地下水 / 環境トレーサー
研究開始時の研究の概要

洪水や氾濫の予測精度を向上させるためには、山地流域における降雨流出過程の理解が不可欠である。風化基岩(風化帯)の水理特性に由来して、地質により降雨-流出応答が異なることが知られ、透水性の低い中古生層では風化帯の乾湿状態に応じた複雑な水移動が生じ、水流出の予測を困難にしている。本研究は、風化帯を貫通する観測井の水位変動を含む水文観測と、近年模索が始まった環境トレーサーとしての微生物情報と従来の水質要素を組み合わせ、古生層流域の斜面における降雨流出に影響する斜面地下水の動態を明らかにする。

研究実績の概要

水文観測を継続するとともに、出水時の渓流水を経時的に採水し、環境トレーサーの変動実態を確認した。2023年は4・5月の多雨により、前年の寡雨による斜面土壌の乾燥が緩和され、6~7月は表層土壌のマトリックポテンシャルが斜面上部でも-30kPa前後となる期間が長く生じた。5月上旬から地下水位も斜面中腹で長い期間観測されるようになったが、斜面上部の観測井では1年を通じて水位が観測されなかった。8月以降は寡雨傾向となり、再び斜面土壌の乾燥が進行した。総量81mmの降雨から86時間後の減水過程にある7月上旬にもたらされた総量31mmの降雨による出水では、増水に伴って渓流水のpH、EC、硝酸イオンを除く化学成分の濃度および水安定同位体比は降雨の値に接近していく変動を示し、降雨終了後速やかに出水前の値に戻っていった。一方、硝酸イオンは出水後半にかけて徐々に増加する傾向を示した。降雨終了後の斜面中部と下部の地下水および斜面下端湧水の化学成分は、三者三様であり、斜面中部地下水と斜面下端湧水は硝酸イオンを除いて比較的近い関係にあった。無機化学的情報からは、累積雨量の増加による希釈と浸透過程での溶脱といった地表面付近の浅い領域での降雨流出過程が主体との印象を与えるが、細菌叢の組成では、表土に少ない古細菌のNanoarchaeota、および細菌のPatescibacteriaが出水中も渓流水で高く維持された。両者とも地下水に多く含まれ、降水の少ない冬の渓流水で組成率が高い傾向がある。このため流域が比較的湿潤な条件での30mmの降雨イベントにおいても、渓流水における地下水の寄与率は大きいと考えられた。この2門は調査流域において通年安定的に存在していると推定され、降雨流出過程を探る有効な環境トレーサーとして期待される。出水時の経時変動事例を増やし、細菌叢構成の変動にも注意を向けながら検証を進めていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

斜面地下水が観測井内に維持される状況下で出水に対応した渓流水および斜面地下水の採取ができたことで、今年度目標としていた出水時の渓流水量の変動に連動した、化学成分、水安定同位体比、微生物情報の変動の実態を知ることができた。微生物情報については、自動採水器(設定時間間隔等で単一採水チューブを通じて整列した複数の開口ボトルに順に取り分ける機器)を用いた場合の分析結果への影響が心配されたが、各採水時直前に2回採水ラインを共洗いし、細菌叢の解析結果から精製水を注水したボトルから検出された細菌叢を除外した結果、秋季の微小出水においても渓流水量に連動して細菌叢構成や組成率に変動が確認された。このため、微生物情報の取得を目的とした出水時渓流水試料の採取に自動採水器が使えると判断され、経時的な採水方法に関する問題が解決し、大出水時への対応に自信を深めた。

今後の研究の推進方策

流域および斜面の水文観測を継続するとともに、出水時における試料を採取し、機器分析で得られる情報と降雨-流出過程との関連性を検討し、対象流域の斜面地下水動態を推定する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 竜ノ口山南谷における地下水、湧水、渓流水の環境トレーサーによる比較2024

    • 著者名/発表者名
      細田育広
    • 学会等名
      日本森林学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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