研究課題/領域番号 |
22K05737
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
梅村 光俊 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (00737893)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 植物ケイ酸体 / 生体鉱物 / 土性 / 粒径分布 / 土壌生成 / プラント・オパール |
研究開始時の研究の概要 |
国内森林域の主要構成種であるササやタケは、代表的なケイ酸集積植物であり、生体内でプラント・オパール(PO)と呼ばれる生体鉱物を生成する。POの大きさはちょうど土壌粒子の砂、シルト、粘土に相当することから、POが土壌に組み入れられると土壌粒子としてふるまい、土壌の透水性や通気性、養分の保持に寄与する可能性が考えられる。本研究では、土壌に用いられている分析手法をPOに適用することで、土壌の粒径分布におけるPOの寄与率を定量的に評価することを目的とし、ケイ酸集積植物が生成するPOによって特有の土壌が形成される可能性を提案する。
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研究実績の概要 |
ケイ酸集積植物が生成する生体鉱物「プラント・オパール(PO)」の土壌生成因子としての機能解明に向けて、3年間に及ぶササ(チシマザサ節)の各器官の野外分解試験を完了させ、稈の分解が最も遅く、細根の分解が最も速いことを明らかにした。本結果により、植物遺体から土壌へのPOの供給速度を議論することができ、時間軸を含めたPOの土壌生成への寄与を評価することが可能となる。 具体的には、植物遺体から土壌へのPOの供給速度を明らかにするため、ササの葉、稈、地下茎、細根の野外分解試験を2020年7月から2023年7月までの3年間実施した。各試料を3 gずつ充填した10 cm×10 cm、1 mmメッシュサイズのリターバッグ計156個を森林総合研究所北海道支所構内二次林の林床上に設置または表層土壌に埋設し、3、9、12、24、36か月後にその一部を回収し、土壌などを除去した後、絶乾重量を測定して重量残存率を求めた。その結果、ササの各器官の平均重量残存率は、3年後の時点で、稈(地中)79%>稈(地表)77%>地下茎(地表)55%>葉(地表)52%>葉(地中)50%>地下茎(地中)43%>細根(地表)36%>細根(地中)27%であった。この内、自然状態に近い処理区について平均分解速度定数を求めたところ、稈(地表)0.089、葉(地表)0.219、地下茎(地中)0.296、細根(地中)0.498であり、稈の分解が最も遅く、細根の分解が最も速いことが明らかとなった。これらの結果と各器官のPO含有量を合わせて議論することで、植物遺体から土壌へのPOの供給量とその速度について定量的に評価することが可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年から2023年にかけて実施したササの野外分解実験を完了させ、器官ごとの分解速度定数を明らかにした。これにより、ササ地におけるPOの供給速度を解析することが可能となり、今後、時間軸を含めた議論の展開が期待できる。また、PO供給源であるササの地上部・地下部器官全ての試料採取を終え、POの粒径分画および溶解性・安定性を評価するための培養実験に向けた試料調製を完了することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
ササが表層土壌に供給するPOの粒子形態の特徴について、稈、地下茎に含まれるPOの粒径分布と各粒径を構成する粒子形態を明らかにし、すでに分析済みの葉と細根のPO粒径分布の結果と合わせて成果をまとめる。POの土壌中での溶解性・安定性の評価に向けて培養実験の準備を進める。土壌の各粒径区分におけるPO含有率を定量的に示し、これらの結果と合わせて土壌粒径分布におけるPO寄与率について総合的に考察する。
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