研究課題/領域番号 |
22K05738
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
中村 克典 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40343785)
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研究分担者 |
小澤 壮太 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (10753139)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | マツ材線虫病 / 伝染病 / 流行 / 終息 / 媒介昆虫密度 / 宿主感受性 / 寒冷地 / 流行過程 / 自然終息 / 気象条件 / 媒介者密度 |
研究開始時の研究の概要 |
伝染病の流行過程の解明は、感染拡大の予測や制御に向けて先決されるべき課題である。 マツ類樹木の伝染病であるマツ材線虫病の流行過程、すなわち罹病枯死木数の経年的な変化は近接したマツ林の間でも異なることがあり、特に寒冷地では流行が自然終息する場合もあるが、そのような違いがもたらされる仕組みは分かっていない。本研究では、今まさにマツ材線虫病の被害が終息しつつあるマツ林を対象に、経年的な温度条件の変化に対する宿主(マツ)の感受性や媒介昆虫密度の応答等を検証し、流行の自然終息がどのような条件の下で生じるのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
マツ林内におけるマツ材線虫病の流行過程、すなわち罹病枯死木数の経年的な変化は地域間で、また近接した地域内でも林分ごとに異なり、寒冷地では流行が自然終息することもあるが、そのような違いがいかなるメカニズムにより生じるのかは解明されていない。本研究では、今まさにマツ材線虫病の被害が終息に至りつつあるマツ林を対象に、経年的な気象条件の変化に対する宿主(マツ)感受性、媒介昆虫密度の変動等を検証することで、流行の自然終息がどのような条件の下で生じるのかを明らかにする。この目的を達するため、①岩手県北上市稲瀬のマツ枯損動態調査区での罹病木発生モニタリング、②近傍の苗畑に毎年植栽するアカマツ苗木へのセンチュウ人工接種による宿主感受性の年次変動の測定、ならびに③調査区マツ林における媒介昆虫の発生数調査を行った。 調査区マツ林での2022年夏および秋の調査で確認(ないし推定)された罹病枯死木数はいずれも0本であった(雪による折損や被圧による枯死はわずかながら認められている)。前継課題からの継続調査により推定された調査区マツ林での2015年以降の罹病木枯死数は年あたり5本以下の低水準で推移してきたが、2021年~2022年期(マツノザイセンチュウが媒介される夏以降、次の夏までの一年間)で初めて0本を記録し、終息現象が確認されつつある。一方、調査区マツ林におけるカミキリ成虫発生数は2017年以降1~8頭と変動しつつも消滅はしておらず、流行終息は必ずしも媒介昆虫の絶滅を要件としないように見える。苗畑でのセンチュウ人工接種によるアカマツ苗の枯損率には年時間の変動が大きく、調査区マツ林での罹病木数変動に直結してはいないものと思われる。これらの点について確実な検証を行うため、次年度も上記3項目の計測を継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前継課題から続けられてきた調査区マツ林での罹病木発生モニタリングにより、当調査区でのマツ材線虫病の自然終息が確認されつつある。昨シーズンで罹病枯死木数が0となったが、これが偶然によるものでないことを確認するために、調査を継続する。自然終息要因の解明のための媒介昆虫の発生数調査、マツノザイセンチュウ人工接種による宿主感受性計測でも着実にデータが蓄積されており、目的達成に向けて研究は順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り研究をすすめる。調査区マツ林での罹病木発生数モニタリングと媒介昆虫発生調査、宿主感受性把握のためのマツノザイセンチュウ接種試験を着実に実施し、流行終息の確認と、終息を導く要因の解明に向けたデータを蓄積する。
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